氤氳 Ⅱ
さて、新人戦編、いよいよスタートです!!!
初戦。気を引き締めるとともにしっかりと突破しないといけない。
正直昨日の夕方、そして今朝と調整したつもりだが、会場でのコンディションはあまり確認できなかった。今回の試合は半ばその確認も兼ねることになる。
「それでは、試合を開始します。」
「「「「よろしくお願いします!!」」」」
LEG1と4は一般編入生が出場するルールになっている。第1戦ということもあり、チーム全員の肩を温めたいという目的から、LEG1に虹渡、そして樹が出場、LEG2では透、そして透と俺がLEG3に出る方針だ。LEG4には樹、俺、LEG5は4人全員での出場だ。
「じゃあ行ってくるから見ててね!」
「…行ってきます!」
樹はかなり緊張しているみたいだ。
「大丈夫大丈夫!気楽に投げよう!多分次とその次で透がなんとかしてくれるはずだから!」
「……………えぇぇ、他人任せ!?」
「虹渡の言う通りだ。このチームの要の透ならどんな劣勢でも必ず打開出来る。安心して投げて戻ってきてくれればいいから。」
「……………翔もそのスタンスなの?裏切られた気分なんだけど…」
透はその経験と学年トップを守ってきた実力から負けることはないだろう。
第1LEGは501 FREEZE(BUST)。これはルールが普通のDOUBLESとは異なる。
このゲームにおいては、各チーム2人ずつが同時に点数を減らしていく。まずチームごとの持ち点で戦うものではないという点がまず1つ。
また、最後FINISHできそうになった時、味方チームのもう1人の残っている点数が、相手チームの2人の合計残り点よりも大きい時、FREEZEと言って凍った状態になる。簡単に言うと上がることができなくなるわけだ。すなわち、どちらか一方が点数を減らしておけば良い、というものではないということになる。
ルールはやや複雑だが、味方と協力しながら点数を減らせば良いということだ。どちらか一方だけが頑張っても、もう一方の点数が減らせていないと勝てないのだ。樹は緊張しているようだが、この1ヶ月で特訓してきただけあり、かなり上達してきている。
正直この2人ならば善戦できると思っている。
CORKで虹渡たちは後攻になった。
『501 GAME ON !』
『ROUND 1』
少しずつ空気が重たくなっていく。試合に向けて張り詰めた空気がどんどんと濃くなる。
この非日常の感覚に、少しずつ身体が蝕まれていく。
そして今は全員が水の中に息を止めて潜った状態だ。堪えきれず息を吸ったものが敗者となる。即ち完全なる我慢比べだ。
…ピュピュピュン『TRIPLE 13』
…ピュン『SINGLE 6』
…ピュン『SINGLE 17』
…ピュン『SINGLE 1』
…パシューン『BULL』
…ピュン『SINGLE 3』
447
(H)神谷 詠悟 439 (I)日下部 樹 447
940 948
(D)小林 奏太 501 (C)光倉 虹渡 501
「Nice Darts !! この調子!」
俺の出番はまだ先なので応援に徹する。とりあえず樹はいつも通り…に投げられているようだ。
各チームのプレイヤーの得点と合計点が出ている。まだここではFREEZEすることはないのでとにかく点数を減らしていけばいい。
「……………樹もよくここまで成長したよねぇ…」
透はなんだか成長した息子を見たオカンみたいになってる。肝心の表情は読めないがなんとなく感慨深くなっているのはわかる。
でもそう思うのもわかる。数週間前はダーツをボードに刺すのでさえおぼつかなかったのだから、ここまで実力が伸びるのは樹自身が毎日の練習を欠かさずこなし、頑張ったからに他ならない。
実力上拮抗していることで点差はあまりつかないが、この日は虹渡の調子が良く、一歩飛び出している状態だった。
『ROUND 6』
…ピュン『SINGLE 2』
…バギュン『DOUBLE BULL』
…パシューン『BULL』
『LOW TON』
「あ!凍った!」
26
(H)神谷 詠悟 146 (I)日下部 樹 201
172 217
(D)小林 奏太 26 (C)光倉 虹渡―16―
相手の小林くんがキャッチに恵まれてかなり点数を減らしていた。そのため、ついていけなかった樹の点数が相手チームの2人の合計点を上回っていた。
そのため、いいペースで減らしていた虹渡だが、このターンで上がることはできなくなった。これがFREEZE BUSTの厳しさ。
…ピュン『SINGLE 8』
…ピュン『SINGLE 4』
…ピュン『SINGLE 2』
―2―
(H)神谷 詠悟 146 (I)日下部 樹 201
172 203
(D)小林 奏太 26 (C)光倉 虹渡 ―2―
『ROUND 7』
…ピュン『SINGLE 19』
…ピュン『SINGLE 1』
…ピュピュン『DOUBLE 5』
116
(H)神谷 詠悟 116 (I)日下部 樹 201
142 203
(D)小林 奏太 26 (C)光倉 虹渡 ―2―
練習試合とはまた異なる緊張感、点数が削れていないという負い目を感じているであろう樹だが、とても落ち着いていた。
「ふぅー………」
一度深呼吸し決心したようにボードに向かう。
…パシューン『BULL』
…ピュン『SINGLE 3』
…パシューン『BULL』
『LOW TON』
「「うおお!!!?」」
虹渡も、観ていた俺も思わず声が出た。
勝負強すぎる。どんなメンタルしてるんだ…
98
(H)神谷 詠悟 116 (I)日下部 樹 98
142 100
(D)小林 奏太―26― (C)光倉 虹渡 2
好プレーによりチーム"KNIT"は勢いづく。
虹渡がそのままDOUBLE 1を上がりきり、1LEG目は勝利で終えた。樹のこのワンプレーでチームも勢いづいた。
成長した樹と虹渡のチームワークの勝利でしたね!そして次回、透の…クールなプレーが炸裂します!是非是非ご期待ください!
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