氤氳 Ⅰ
今回から新人戦トーナメント、スタートです!
今日は新人戦の予選が行われる。もともと示された、トーナメントのカードに従って進めていく。学年全員が出場しているので全部で100チーム前後。実力者が綺麗に分散するようにトーナメントが組まれていた。
前日は透の家に泊まり込んで最終調整をし、マスターの精のつく食事、十分な睡眠を経て、今に至る。
この大会は広いスタジアムの中で行われる。俺達のチームは開会まで、会場の雰囲気に慣れるために早めに現地入りした。会場の設営の様子を見て回り、心の準備をしている。
「いやー緊張するねー!!!」
「そうですか?そう言う風には見えませんが…」
「……………虹渡は元気にしてる時ほど逆に緊張してるんだよ。」
「さすが幼馴染。よくご存知なのですね。」
「虹渡が朝から元気だったのは緊張してたからなんだな。」
なるほど。緊張を自覚しないための予防線なのかもしれない。自覚してしまって不安になって、コンディションが悪くなることを懸念しているのだろう。
「そういえば…翔くんは仲直りできましたか?」
「まあ…なんとかね…」
「「え゛。」」
虹渡も樹も、俺と透が互いに少しピリピリしていたことを察していたらしい。隠そうと思っていたもののチームメイトにはバラバラだったようだ。
しかし思い出してみれば、あの練習試合ではほとんど透と話さなかったし、バレるのは仕方なかったかもしれない。
「……………一応仲直りはできていると…思うんだけどなぁ…」
「あれ仲直りってことでいいの?」
「……………どうなんだろうね。」
なんやかんやで謝ったはいいがそのあと試合をしまくったせいでなあなあにしてしまった気がする。透が仲直りしたというスタンスなら俺もとりあえずは安心だ。
「……………とりあえず今日はよろしく!」
「よろしく!!」
「……………まあ任せてって言いたいところだけど今日少し調子が上がらないんだよ。まあ……今日は予選だし、あんまり実力者には当たらないはずだから気楽に投げようかなーって思ってる…」
ここで俺にかかってる、なんて思って自分を過度に追い込むからこの前みたいな失敗をする。いつも通り以上の実力は出るわけないから…とにかく楽に投げよう。
虹渡が俺たちが仲直りしている雰囲気を察してか、トーナメントの話を持ち出す。
「試合表見ました?西園寺くんのいるチームとは決勝まで進まないと当たらないみたいですよ。」
「お!!!それなら安心だね!」
虹渡…正直決勝に行くのも至難の業だから喜ぶ以前の問題なんだよ…
勿論チームメイトの力があればかなり善戦できる気はするけど!
「……………まず順当に勝ち進むのが第一だよ。相手が誰かなんて関係ないから。全力で行こうね。」
透が浮き足立つ俺たちをしっかりと引き締めてくれた。
「絶対勝つぞ!!」
「「「うん!!!!」」」
こうして、トーナメントは幕を開けた。
今回のトーナメントのゲーム内容は、準決勝までは以下のゲームでトーナメントは進む。内容は、
LEG1―501 FREEZE (BUST)
LEG2―SINGLES STANDARD CRICKET
LEG3―DOUBLES 501
LEG4―SINGLES TEAM CRICKET
LEG5―GALLON 901
となっている。この5LEGで3LEG先取で勝利となる。LEG2以外全てチームでプレーするものとなっており、チームワークが試されるゲームになっている。
決勝ではまた違うゲーム内容になるようだが、これに関しては決勝の時に内容は開示されるらしい。
「……………毎年内容は違うけど、7LEGにはなるはずだよ。去年そうだったみたいだし…でもゲーム内容は準決勝までとほとんど変わらないみたいだよ。」
「ボクもそれは知ってるけど今年は何か一味違う試合になりそう!なんとなく!」
「一味違う、とはどのような意味でしょう…初心者であまりわからないのですが全てCRICKETとかそういうことはないですよね?」
「いや…正直虹渡がそう言うってことはかなりゲーム内容が変わるかもしれない。例年は01或いはCRICKETって先生から聞いてたけど…どうなるかな。」
嫌な予感がする。的中しなければいいが…
まあそもそも決勝まで進まなければ話にならない。
しかも今までの数回の練習試合の結果を見るに、下馬評では決勝に一番上がって来る確率が高いのは…西園寺のチームになるだろう。
いろいろ考えていると広報委員から放送がかかった。
「これから新人戦が始まります。各自整列をして下さい!」
整列して気持ちを落ち着かせていると、入学式と同じく学長が出てきた。荘厳な雰囲気は相変わらずと言ったところか。
「これから新人戦が始まろうとしている。入学式の言葉を皆覚えているだろうか。共に強くなるために、どのような工夫をしたのか、その工夫を今回は見せて欲しい。実力がある者も無い者も、この団体戦においては互いに協力をする共闘の精神が勝れば道が拓けるはずだ。」
そして一呼吸を置いて一言。
「君たちの健闘を祈る!」
みんなの雰囲気がガラリと変わる。ピリッとした雰囲気とともに、闘志が眼にギラギラと燃えているのがわかる。
そうして、俺たちの戦いは始まった。
閑話を挟む予定でしたが書きたいので書きました!
さて、予選ではそこまで強いプレーヤーとは当たらない…とは言っても油断できません。一瞬亀裂が走ったチームですが、ここからどのような戦いを見せるのか、乞うご期待!
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