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D-Life!!  作者: てぇぽん。
入学編
22/85

亀裂 Ⅰ

翔視点に戻ります。お楽しみください。

 俺は笑い出さずにはいられなかった。


「―――!!」


 顔を真っ赤にしてプルプル震えている西園寺。

 昨日「いたら戦うことになるだろう!」「待っているがいい!」などと啖呵を切ってそれが翌日に来たらそりゃ誰でも恥ずかしくなることだろう。


「こうも早くに剣を交えることになるとは…せいぜい楽しませてくれよ!」


 ここでもあくまで昨日と同じ口調で取り繕うあたり、さすがだと思う。


「剣…?剣なんて使わなくない?ボクダーツしか持ってないけど…」

「うるさいうるさいっ!…うぅ…!」


 と思っていたら、虹渡の天然なツッコミが西園寺にクリティカルヒット。


 しかしそれで恥ずかしくなるのならその普段の言葉遣いも恥ずかしくならないのか…?いや、これ以上考えるのはやめよう。これ以上考えてしまうと知りたくないものを知ってしまう気がするから。


 時は今日の朝に遡る。


「…あーとりあえず試合表貼り出してあるから確認しとけよー…えーあと数学の宿題今日提出期限だから出してない奴は忘れるなよー。忘れたらテスト厳しくつけるからなー………」


 朝のHRの時間、教室に気怠げに入ってくるなり挨拶もなく連絡だけをする。これが藤堂先生のスタイルだ。挨拶もせずに急に話し出すものだから最近までは聞き逃すこともしばしばあったが…流石に慣れた。


 掲示板に行ってみると1年生の掲示スペースに対戦表が張り出されていた。


『練習試合対戦表(第1戦)』


 人が群がっていて見えない…と思ったら虹渡からL○NEが来た。


『はい!対戦表の写真!頑張ろう!』


 メッセージとともに写真が添付されていた。開いて俺のチームの名前を探す。―――あった!


 …え?


『ダーツ台No.25


 チーム“KNIT”


 vs


 チーム“Raven Wings”』


 そしてこれを見た後は講義中は悶々として過ごし…そして今に至る。


 この試合表を見て正直俺はかなり複雑だった。

 強敵と戦えるというのは実力を磨くという点でいいことだ。その上優勝候補のプレーを見て作戦を立てるのも良いと考えたからだ。


 しかしそう考えているのはおそらく自分たちだけではない。奥の手や作戦がきっとあるはずだ。しかしそれを看破するにはそれ相応の力を、俺たちも出さなきゃならない。ある程度隠し通せるものなら隠したかったが…仕方がない。


 色々考えているうちに試合のホールに集合して示されたダーツ台へと向かう。

 審判に促されてボードの前に整列。


「それでは練習試合を始めます。」


 練習試合で抜け番となっているチームが審判をする。

 練習試合、と言ってもかなりしっかりと、厳しく取り締まるようだ。試合会場となっているホールの緊張感が物凄い。押しつぶされそうだ…


「ふっ…我らと戦えることを光栄に思うがいい!」

「あの…えっと…よろしくお願いします!」

「色即是空…空即是色…いざ………参る!!」


 試合を始める前に挨拶と自己紹介。


「さて…我が“漆黒の翼”の力で貴様らを地獄へと誘ってやろう…」


 完全に厨二で痛過ぎる彼はIクラスの有栖川(ありすがわ) 実風(みかぜ)。言動の一つ一つがとにかく厨二くさい。正直ここまでくると昴がまともな人に見えてくる。黒髪で右目を隠すような髪型。身長は俺と同じくらいか…そして細身だ。


 クラスや練習のスローを見ている限りは初心者だろうが…いかんせん西園寺がリーダーということもあり気が抜けない。おそらくトーナメントにはしっかりと調整してくると思われる。油断できない。


「ふぅ…あー緊張します…!!」


ん?向こうのチーム、女子が混ざってるように見えるぞ…?


「ねえねえ!そこの君!ちょっと!今回って男女別でチーム作るでしょ!?なんで女子が混ざってるのさ!翔ーなんかルール変わったのー?」

「いや…そんなことはないぞ?」


「うるさい!僕は男だ!…うぅ…」


「「「「……………え???」」」」


 俺のチームの全員が絶句した。いやどう見ても女の子だろ…女子と間違われて凹んでいるらしい、その涙目の表情に一瞬心が奪われそうになる。…いかんいかん!相手は男…相手は男…


 見た目は女子、中身は男子(?)、その名も男の娘!なプレイヤーはDクラス所属の青野(あおの) 未来(みらい)。背がかなり小さいこともあり、スローは基本的に柔らかめだ。ふわっと投げるわりにある程度ターゲットを捉えるあたり、しっかりと練習してきているみたいだ。


「…集中…」


 1人全身を黒布で包み、見ていて暑そうな格好をしているのがBクラスに所属する猿飛(さるとび) 冴助さすけ。名前からして明らかだが忍らしい。


 しかし投げ方がなんとも…投げているのはダーツでありクナイでは無いはずなのだが…

 基本的に2本から4本の指で持ってダーツを投げるのが普通だが、猿飛のフォームは5本の指で、しかもかなり握っている状態に高いフォームでスローしている。俺からすれば考えられないフォームだ。透も同じことを思ったらしい。


「すごいフォームだな。よくそれで入るよ…」

「……………確かにそれは僕も思った。」


「笑止!これも修行の成果である!」

「カッコいい…!!!!」


 若干1名目をキラキラ輝かせている人もいるが。おーい虹渡、落ち着け。

 完全に忍者の格好だが、服装に関する規定は基本的にはないので、学園から咎められることもないらしい。


「そしてこのチームのリーダー、Bクラス所属の西園寺 昴だ。」


 笑顔が相変わらず眩しい。確かにファンが見たら卒倒するだろう。しかしさっきの動揺の仕方を見るに…いや、彼の名誉のために考えないでおこう。


 ………相手チームのメンバーを見て思うこと。朱に交われば赤くなる、なのか、類は友を呼ぶなのか、それは定かではないが、全員のキャラがとてつもなく濃い。


 第1戦から厄介なチームの相手をしなければならないようだ。

すこしイケメンの昴、の仮面が剥がれかけていましたが…まだ大丈夫ですね!これからしばらくは練習試合編となります。


ブックマークや感想、その他色々よろしくお願いいたします。励みになります。

それではまた次回。

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