2話
ここはどこだ?
確か俺は、電車に轢かれて死んだはずだよな?潰されて死んだなら病院とかに運ばれることも無いだろう。
なら、ここは天国とかか?いや、地獄の可能性もあるな···。
俺はそう思い、瞼を開ける。
すると、そこ中世ヨーロッパ風の天井だった。
てか、俺今どうなってんだ?
身体が思うように動かないんだけど。
辛うじて動く頭を動かし自分の様子を確認する。
そして俺は自分の体を見て驚愕した。
何と俺の目に入ってきたのは赤子ぐらい小さくなった自分の体だった。
てかこれ赤子だわ。
周りを見渡すと明らかに現在の地球とは違う造りの家、そして見たこともない道具の数々。
それらを見て俺は思った。
これ、絶対異世界に転生したパターンだ。
どうやら俺は、元同僚に押されて電車にグチャグチャにされて、異世界に転生したみたいだ。
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取り敢えず分かったことから説明していこう。
まず、俺の生まれた家はそこそこ裕福な下級貴族エドワード家という所らしい。
そして俺は、そこの次男アレン君だ。
因みに俺は、まだ生まれて間も無い。
この世界の言葉は全く分からなかったが、母親とかが喋っているのを聞いて何とか習得した。
本当は本を読んで、この世界の情報をもっと得たいのだが、俺の体は現在赤子なので動けない。
ということで、しばらくは動けるようになるまで大人しくしているしかなさそうだ。
後、この世界には魔力があるらしく魔物もいるみたいなので、将来は冒険者として生きていくのもありかな。
あ、お腹空いた。
「おぎゃあああああ!」
取り敢えず俺は、空腹を満たすため大声で泣き叫び母親を呼ぶことにした。
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二年ぐらい経ったと思う。
俺は毎日のように書庫にこもり、本を読み漁っていた。
俺の家の本の数は中々に多く読み終えるのに全て読み終わるまでざっと一年ぐらいかかった。
多分今の俺の知識力はこの世界の高等魔術学院卒業レベルまであると思う。
そして、俺は昨日全ての本を読み終えたので今日からはまた違うことをしようと思う。
そう、魔法の訓練だ。
魔法を放つ度に使う、魔力の訓練の仕方は魔石に魔力を注げばいいだけなので、この方法を本で読んでからは毎日、倉庫で偶然見つけた魔石に魔力を注いでいる。
因みに魔法の練習はまだしていない。
ただ単純に魔力が少なかったので、魔法を暴発させる可能性があったからである。
魔法を作り、放つのにも魔力がいるが、形を保ち、コントロールするのにも魔力がいる。
もし魔法の形を保てず暴発すれば、俺の体が焼け焦げるだろう。
訓練の効果もあってか、俺の魔力量は平凡な大人の魔術師と同じぐらいにまで上がっている。
俺は、二歳児にして大人を超えた。
俺の両親は大丈夫だが、たまに家に来る王宮魔術師達に俺の魔力量を知られると面倒なので魔力は抑えている。
何はともあれ、実践だ!
「ウォーターボール」
目の前に大きな水の塊が現れふよふよ空中に浮いている。
初級の水魔法、ウォーターボールだ。
普通、魔法は詠唱を必要とするが、俺の場合は想像力が豊かなので詠唱何て必要ないのだ。
想像力が豊かであれば詠唱は必要無いと言ったが本当に想像力があれば問題無いのだ。
魔法は想像力が全てでどんなに魔力が高くても、想像力が無くて魔法を使えない、なんてことはよくある話だ。
俺の場合、見た目より長生きしているので基本的に想像力は豊かなのだ。
俺は、目の前にある水の玉をあらかじめ用意していた、桶の中に寸分違わず狙って入れる。
「ファイアーボール」
そして、桶の中の水を火の玉で蒸発させる。
これを三十回ほど繰り返す。
一通りやってみたいことはやったんだけど、次は何をしよう。
家から出ていいなら森で動物を狩ったりしたいんだけど、流石に二歳半で森に狩りに行くのは、許してくれなさそうだから諦めよう。
俺は大人しく魔石に魔力を込めながら中級魔術の本を読む。
俺は、この世界で生きていく上での目標を立てた。
前世の俺の死因は、出世の為、金のために友人関係を捨て、周りの恨みを買っていたから起こったことだ。
だから俺は、今回の人生は誰にも恨まれず、楽しく生きていこうと思う。
だから周りから反感を買わないように、そこそこの力しか周りに見せないようにしよう。
将来はそういうしがらみの無い冒険者として生きるのもいいかもしれない。
まあ、そこまで恨まれる程の魔法使いになれるかも分からないけどね。
俺は、そんなことを考えながら読み終わった中級魔術の本を本棚に戻し、上級魔術の本を取り出し読み始めた。