表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/91

友達にヒドイこと言いたくないよ……

「うちのおじーちゃんがさあ、『家事と育児は女の仕事だ』ってお母さんのこと怒鳴るんだよ。だから私、おじーちゃん大っ嫌い。ま、お小遣いとかお年玉くれるのはいーけどさ。正直、金づるだよね」


ある日、うちに遊びに来たよっしーがそんなこと言いだした。まあいつものことだからそんなに気にしないで、


「ふ~ん、大変だね」


とだけ答えておいた。


そう言えばパパが言ってたな。


「『家事と育児は女の仕事だ』ってよく聞く言葉だけど、そういうこと言ってる人って物事を一面でしか見てないんだなってすごく思う。なにしろ、昔だってよくよく調べてみたらその家のお母さん一人でやってた訳じゃない筈だしさ。主に女性がしてたのは事実でも、一人でしてた訳じゃないと思うんだよね。


昔は、家に何人も家族がいて、何だかんだとみんなが手伝ってたと思うんだ。でも、今は核家族が基本になって、大人が家に二人しかいないっていうのが普通になってるだろ? だったら二人しかいない大人が手分けしてやるのは当たり前じゃないかなあ。


それを、『家事と育児は女の仕事だ』とか言ってお母さんだけに押し付けて、それが合理的だとでも思ってるのかな?」


って。


正直、パパは家の片付けとかが下手だ。料理だって下手だからご飯はいっつもスーパーのお惣菜とか冷凍食品だ。でも私は別にそれを不満には思ってない。パパはそれが苦手だっていうだけだから。私が女の子らしい可愛い振りするのとかが苦手なのと同じなんだ。別に困ってないから文句もない。


ただ、よっしーがお祖父ちゃんのことを「おじーちゃん大っ嫌い」とか「金づるだよね」って言うのを聞くのは、本音言わせてもらえば悲しかった。


だからそれから何日かして、学校で……




「私…友達にヒドイこと言いたくないよ……」


私、学校から帰ってきてすぐ、パパの前でそう言った。


「ヒドイこと言いたくないよ……」


もう一度そう言った私に、


「そうか…。そんな風に思う美智果を、お父さんは偉いと思うよ……」


って言いながら、パパは頭を撫でてくれた。そしたらポロポロと勝手に涙があふれてきた。そんな私を、パパはそっと抱き締めてくれた。


「…アキちゃんがね…イジワルなこと言ってくるんだ……だから私、思わず『もう、顔も見たくない!』って言っちゃって……ヒドイこと言っちゃった……」


そうなんだ。アキちゃんがイジワルなこと言ってくるのもイヤだったけど、そんなアキちゃんに『顔も見たくない!』って言っちゃったのがすごくイヤだった。悲しくなった。


「美智果……意地悪なことを言ってきた相手にもそんな風に思えるとか、本当にとっては自慢の娘だよ……偉いな、美智果は……」


パパは、私の話をちゃんと聞いてくれる。だから好きなんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ