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<生きる>って大変だね……

「美智果、他人は美智果にとって都合のいい存在とは限らないし、その他人が集まって作ってる社会も美智果にとって都合のいいばかりのものじゃない。それは忘れないでほしい」


パパが私によく言う言葉だ。そしてこうも言ってた。


「社会っていうのは元々、価値観の違う者同士が折り合いをつけて生きていくことを目的に作られるものだと思う。全員が一つの価値観、一つの目的だけに突き進み機能するのは<社会>って言うより<装置>じゃないかな。そういう意味では、社会っていうのはその成り立ちからして誰か一人にとってだけ都合のいいようには出来てないんだ」


正直言って私にはまだ難しいって感じてる。でもパパが私に大事なことを教えようとしてくれてるんだっていうのは分かるんだ。


パパは、リンちゃんが私にイヤミを言ったりするのを「良くないことだ」と言ってくれる。でもその上で、「リンちゃんがどう感じるかっていうのを美智果の都合に合わせることはできない」とも言うんだ。


本音では『パパはリンちゃんの味方するの?』って思っちゃいそうにもなるけど、それはたぶん違うっていうのも分かるんだ。パパはいつだって私の味方だ。だけど、『世の中は決して甘くない』って教えようとしてくれてるんだろうなとも思うんだ。


私は、家ではパパに甘えさせてもらえてる。だけど世の中っていうのは大変なこともいっぱいあるんだっていうのもそうなんだろうなっていうのもなんか分かる。イヤなこともたくさんあるよ。


だけどさ。ママともう会えないっていうことに比べればまだマシかなって気もする。


パパ、<生きる>って大変だね……


でも私は大丈夫。パパがいてくれるから。私が自分で生きられるようになるまでパパは待っててくれるから。


だから、私は家ではパンツ一丁だってことも、ゲームが好きだってことも、アニメが好きだってことも、おっぱいなんて要らないジャマだと思ってることも、エロとか気持ち悪いと思ってることも、アイドルには興味ないってことも、パパと一緒にお風呂入ってるってことも、おねしょが治らないことも、他人には理解してもらえなくても別にいいって思える。


だって、私は私だもん。他の人じゃないもん。それに、他の人は私じゃないもん。同じ風に思えなくても当たり前なんだよ。パパが言いたいのはそういうことなんじゃないかな。


だからさ、他の人がイジワルなことしてても私はしないようにしようと思うんだ。そんなことしたらパパが悲しむし。


それにさ、私がパパに大切にされてるほど大切にされてないんだろうなって思うと平気になるんだよね。



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