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第四部のあらすじ ※ネタバレ注意です

 第四部のあらすじです。端折っている部分も多いですが、大体の流れはわかるかと思います。

 目新しい内容はありませんので、第四部読了済みの場合は特にお読みいただく必要はないものとなっております。

 なお、エピローグの内容は入っておりません。

★★クリスティーナの婚約★★

 クリスティーナとアレシュの婚約の儀がグリューンで執り行われることとなり、アリツェとドミニクは対帝国の最前線から、急きょグリューンへととんぼ返りした。


 ヤゲルの王女クリスティーナとフェイシアの王子アレシュの婚約が成った結果、両王国の結びつきはより強固なものとなった。


 婚約の儀の翌日、クリスティーナはアリツェに重要な告白をした。転生先としての元々のクリスティーナの人格と、転生元の人格であるミリアとが、婚約の儀を契機に一つに融合したこと、そして、主人格がミリアになったことを。また、転生者であることはむやみに周囲に知らせるべきでないとの判断から、以後もクリスティーナと呼んでほしいとも、アリツェに頼み込んだ。


 婚約の儀の二日後、今までヤゲル王国のクラークへと避難していた精霊教グリューン支部の関係者が、グリューンの街へ戻ってきた。久しぶりにエマをはじめ懐かしの面々と顔を合わせ、アリツェは幸福感で満たされた。またアリツェは、孤児院時代の親友で霊素持ちでもあるシモンとガブリエラに、今後少しずつ精霊術を教えることを約束した。


 アリツェは孤児院の院長トマーシュに、かつて感じた疑問について尋ねた。なぜ一目でアリツェが霊素持ちだとわかったのかと。トマーシュは、腕にはめた銀の腕輪が、霊素持ちに反応して熱を持つからだと説明した。しかもその腕輪は、かつてトマーシュが『世界再生教』に所属していた際、同僚になったザハリアーシュから譲り受けたものだと言う。アリツェたちはその腕輪がただの腕輪ではないに違いないと訝しんだ。


 また、お互いにステータスを確認し合おうとした際、ラディムの身体に驚愕の事実が判明した。ラディムの身体は優里菜の転生素体として作られたと思っていたが、実際は悠太が作った転生素体なのではないかとの疑いが出てきたのだ。優里菜が設定したはずの技能才能ではなく、悠太が設定していた技能才能を、ラディムは所持していた。つまり、アリツェとラディムは性別は異なるが、一卵性の双子なのではないかとアリツェたちは疑い始めた。


★★帝国軍対王国軍★★

 クリスティーナとアレシュの婚約の儀を無事に勤め上げたアリツェたちは、再び対帝国の最前線へと戻った。ザハリアーシュの導師部隊がいる危険性もあり、アリツェは陣地の周囲の哨戒に努めた。導師たちの霊素を感じることができるのは、同じ霊素持ちのアリツェ以外にいなかったからだ。最前線に戻って一週間、とうとう、帝国軍との初戦を迎えた。


 初戦を迎え、帝国軍内にザハリアーシュら導師部隊がいないことを確認したアリツェは、ドミニクとともに精霊術で上空へと飛び、帝国軍の後方に大規模精霊術を打ち込んだ。混乱の渦に飲み込まれた帝国軍は、這う這うの体で後方へと引き上げていき、初戦は王国側の大勝利に終わった。


 一方的な展開に終わったため、帝国の第二波が来るまで、しばらくのんびりとした時間が過ぎた。そんな中、アリツェは皆に自分の料理を振舞う機会を得た。意気揚々と料理を作り、皆に提供したのだが、食べた者は次々と泡を吹き倒れた。アリツェの飯マズテロ攻撃は強烈だった。以後アリツェは、二度と厨房に入るなと厳命される。


 料理を取り上げられ暇を持て余したアリツェは、精霊術の強化も兼ねて、ドミニクを誘って飛行術で空中『でぇと』を楽しんだ。英気を養ったアリツェは、再び対帝国軍へ向け、気を引き締めなおした。


 帝国軍第二波襲来の報を受けたアリツェは、再びドミニクとともに空中へと舞い上がり、大規模精霊術で威嚇をした。前回使った術には対策を採られていたが、アリツェは別の大規模精霊術を使い、再度帝国軍に大きな混乱を与えた。


 第二波を無事に追い払ったものの、いまだ姿を見せないザハリアーシュら導師部隊の同行に、アリツェたちは戸惑いを覚えていた。導師部隊がいれば、ここまで王国側の一方的な展開にはならないはずだからだ。


 それ以上に心配だったのが、もし導師部隊が反対側の最前線であるムシュカ伯爵領軍側に現れたとすれば、霊素持ちのいない伯爵領軍側に対処の手段がなく、一方的にやられる恐れがあった。幸い伯爵領軍側に導師部隊が現れたといった報告は入っていなかったので、導師部隊は帝都ミュニホフに駐留しているのだとアリツェたちは判断したが。帝国上層部の考えが読めず、アリツェは一抹の不安を抱いた。


★★帝国軍対伯爵領軍★★

 アリツェの不安は的中した。導師部隊がムシュカ伯爵領軍側に現れたとの報告が入ったからだ。


 自由に動ける霊素持ちとして、急きょアリツェが伯爵側の救援に向かうこととなった。アリツェはドミニクとともに、飛行術を使って国境を固める帝国軍に見つからないよう帝国内に侵入し、伯爵領へと向かった。


 無事伯爵領についたアリツェは、王国軍側でも行っていた周囲の哨戒に当たった。そこで、とうとう導師部隊を発見、先制の大規模精霊術で追い払うのに成功した。


 その後も小規模ではあるが、帝国側の魔術による夜襲が続いた。だが、その夜襲は導師部隊のものではなく、導師部隊が作ったマジックアイテムを持った一般兵たちによるものだった。アリツェの大規模精霊術を恐れて、ザハリアーシュが慎重に行動をしているのかとアリツェは訝しんだが、実際は一般兵による魔術攻撃で、アリツェを伯爵領軍側にくぎ付けにしようとするザハリアーシュの策略だった。この隙にザハリアーシュと導師部隊は王国軍との最前線へと移動し、アリツェのいない王国軍側へ大きな被害を与えていた。


 ザハリアーシュに一杯食わされたアリツェは、ドミニクを伴い王国軍側へ急ぎ戻った。王国軍側はラディムがどうにか対処をしたおかげで、致命的な損害は受けていなかった。だが、指揮官の役目も担うラディムが、今後もずっと対導師部隊にかかりっきりになるわけにもいかなかった。アリツェはラディムから任務を引き継ぎ、導師部隊への対処を始めた。


 また、ここで再びザハリアーシュたちに伯爵領軍側へ移動されては、同じことの繰り返しになるとアリツェは考え、ラディムが伯爵領軍側へ行くことを提案した。フェイシア王国軍所属のまま帝都入りしては、フェイシアの侵略行為に加担したと帝国国民に誤解され、理解を得られない恐れがある。帝国の皇子として帝都ミュニホフへ進軍し皇位を奪うのであれば、王国軍の司令官ではなく同じ帝国のムシュカ伯爵領軍の司令官としてミュニホフ入りするのが最善だった。


 アリツェの手によりザハリアーシュらを追い払ったのと時を同じくして、待ちに待った援軍、クリスティーナ率いるヤゲルの近衛弓兵隊が到着した。これを機に一気に帝国本土への侵攻を決意した総司令官のフェルディナントの命を受け、アリツェたち王国軍は一気呵成に帝国領内へと進軍した。


★★帝都ミュニホフ決戦★★

 帝都ミュニホフへの進軍は、思っていた以上に難航した。帝国臣民の現皇帝への信頼が厚いからだ。

 遅々として進まぬ進軍のさなか、アリツェは十四歳の誕生日を迎えた。ドミニクからモルダバイト製の指輪、クリスティーナからは霊素を込めたジンジャーブレッドを贈られ、アリツェは二人の心遣いに感激した。

 誕生日を迎えた夜、アリツェは一つの転機を迎えた。ここ最近表に浮上してきていなかった悠太の人格が、とうとうアリツェの人格の中へと融合されたのだ。悠太は、二年間一緒に居られて楽しかったと感謝の意をアリツェに示し、また、融合はされるが、意識は残るから嘆くなと言った。アリツェは確かに、心の片隅に悠太の意識が残り続けていると実感した。


 夏を迎え、とうとう王国軍は帝都ミュニホフまでやって来た。ラディム率いるムシュカ伯爵領軍とも合流し、二つは指揮系統を統合、新たに反皇帝軍を組織した。


 ミュニホフ籠城を選択した皇帝側に対し、フェルディナントは周囲を包囲したうえで、街門の突破作戦を決行した。アリツェが空から、クリスティーナが地上から大規模精霊術を放ち、戦いは一方的に終始した。街門を確保した反皇帝軍は一気にミュニホフ内へ侵入した。


 ここでラディムが、自らザハリアーシュをとらえて、過去を清算したいと主張しだした。危険ではあったが、これからのラディムのためにも必要なことだと判断したフェルディナントは、しぶしぶ許可を出す。

 アリツェはラディムを空中から補佐しつつ、ザハリアーシュら導師部隊と渡り合い、とうとうザハリアーシュを生け捕った。ラディムに対し、『世界再生教』が正しいといずれわかる時が来ると捨て台詞を吐いたザハリアーシュは、その晩フェルディナントの元で斬首された。


 皇帝を皇宮内へ追い詰めた反皇帝軍は、精鋭を集めて宮殿内へ攻め入ることを決定した。その際、アリツェとラディムの母で皇帝の姉でもあるユリナ皇女を、どうにか宮殿から連れ出すよう、アリツェたちはフェルディナントから指示された。

 アリツェたちはユリナ皇女の元へ向かい、説得を始めた。だが、ユリナ皇女は頑として聞かなかった。ラディムの口からアリツェがユリナ皇女の実の娘であると伝えるも、ユリナ皇女はアリツェが夫カレル前辺境伯の死の原因になったのだと喚き散らし、受け入れようとしない。埒が明かず、アリツェたちは仕方なしに精霊術でユリナ皇女を強引に拘束し、宮殿外へ連れ出した。


 ユリナ皇女をフェルディナントに預けたアリツェとラディムは、皇帝ベルナルドへの最後の説得を行うため、二人だけでベルナルドの待つ皇帝の私室へと向かった。ラディムの説得に対しベルナルドは拒否の意を示し、逆に自分を倒してみろとラディムに言う。


 ここでアリツェたちは悟った。ベルナルドがラディムによって倒されるのを望んでいると。ザハリアーシュらの思想操作にまんまとはまり、『精霊教』を邪教として排除した責任をとろうとベルナルドはしていた。ラディムがベルナルドを打ち倒すことで、旧時代から新時代へと切り替わることを帝国国民に知らせる意図も、ベルナルドは込めていたのだろうとアリツェは理解した。


 ラディムは涙を流しつつベルナルドを討ち、死の間際のベルナルドから、「我が帝国に、永遠の安寧を」と、次代を託された。


 ベルナルドが倒れたことで皇帝軍は完全に瓦解、反皇帝軍の勝利となった。戦後処理を行い、ラディムが新皇帝に即位した。同時に、ラディムの婚約者としてムシュカ伯爵の娘エリシュカが選ばれる。また、論功行賞として、ムシュカ伯爵が侯爵になった。


 ラディムが新皇帝として帝都ミュニホフの臣民の前で新時代の到来を宣言し、帝国は新たな時代を迎えることとなった。

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