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58.「夜が往く」「苛む想い」「愛してる」
「夜が往く」
暗い静かな湖に
一人小さな小舟に乗って
揺られ漂い
それは月の綺麗な夜のこと
水は冷たく
もしこの身を波間に落とせば
あの世へと旅立っていけるだろうか
そんな他愛ない感傷に心を委ね
見えない明日の光を求める夜が往く
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「苛む想い」
離れよう
忘れよう
もう二度と想わない
そう心に誓うのに
その心を裏切る
沸々と湧きあがる想いは
今日もまた
私を苛んで……
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「愛してる」
躰が痛いと叫ぶほど
心が苦痛に歪むほど
好きで
好きで
好きで
堪らなく好きで
溢れ出していくこの想いは
唯、あなた
あなただけ
あいしてる