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51.「冬の夜」「明けぬ夜」「漂流の夜」
「冬の夜」
夜は暗く長くて
朝までは遠くて
けれどあなたは私に
どこにも行かないよ
君を離しはしないと
甘い吐息でささやく
私を強く抱き締めて
そんな儚い夢を見る
寒く冷たい冬の夜は
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「明けぬ夜」
あなたの顔が見えない
あなたの声が聴けない
あなたの心が掴めない
未だ明けぬ不安な夜が
ひたひたと近づいてくる
蒼き透明な静寂の狭間に……
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「漂流の夜」
四肢がバラバラになりそうなほど
精神が苦痛に歪む夜
痛ましい過去の記憶に
翻弄されながら
この心は
この躰は
何処へ流されて行くのだろう