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5.「あなた」「蒼い夜」「別れの雨音」
「あなた」
あなたが好きだった
どこまでも自分に正直に
私だけを愛してくれていた
あなたを私は好きだった
あなたを愛していた
いつまでも私だけを
抱いていてくれた
あなたを私は
愛してた
好きだったのは
愛していたのは
あなた
あなた一人だけ
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「蒼い夜」
半袖が少し肌寒く感じた
秋の日の夕暮れ
見上げると
空は瑠璃色に染まってた
山に一陣の風が吹き
何処までも透き通る
蒼い夕べは私の中に
溶け込んで……
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「別れの雨音」
水色の雨に降られあなたの胸に抱かれて
私達はあの日、別れた
雨は容赦なく
二人を叩いた
降る雨の冷たさは私達の激情すら嘲り
刺す雨の冷たさに私達は天を仰ぎ
決して結ばれない運命を
共に呪った
どうして
何故、出逢ったのだろう
私達はそれぞれに帰るべき家がある