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40.「シンデレラの夜」「ずるい男」「エピローグ」
「シンデレラの夜」
電話をかけて
あなたを待つ
3分…5分……10分
そして
三時間……
鳴らない携帯
鳴らなかった携帯
昇華できない想いは
どこまで流されて行くのだろう
そして0時の鐘が鳴る
灰かぶりへと戻る私は
今宵もまた独り
眠りにつく
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「ずるい男」
好きな女は抱きたいと
あなたは言う
ひとつになって初めて
男と女だと……
けれどあなたは
ずるい男
私を愛しいと呟くその口唇で
同じ言葉をあまたの女に
囁き続ける
あなたは本当にずるい男
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「エピローグ」
もう幾度となくふたり
同じ空間
同じ時間
共有しているのに、何故
あなたの目は虚ろに漂い
心な異空を彷徨っている
言葉さえかけられずに
ただじっと手の平握り
そうしてまた私一人が
どうしようもなくなる