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39.「色ひと筋に」「週末の恋人」「待つ女」「ワガママ」
「色ひと筋に」
彼の人をのみ想いつつとりどりの
ルージュの中から色を選ぶ
鮮烈に女の色香を匂わせる紅
紫は込みあげ疼く欲望を
剥き出しに……
そうして惑いながら
いつもいつも
どの色も選べないまま
日が暮れる
逢うことの叶わない日曜
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「週末の恋人」
週末を共にする恋人がいる
あの人は優しくて
過ぎる程やさしい
けれど
見送った後、いつも
涙零れる
日曜日の夕暮れ
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「待つ女」
同僚からのデートの
誘いを
嘘ついて断った
だって
土曜日は
ひょっとしたら
あなたから電話が
あるかもしれない
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「ワガママ」
もう二度と愛したくはないけれど
無性に愛されたいようなワガママ