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30.「初夏の風に」「砂の城」「壊れる」「来ない明日」
「初夏の風に」
どうしても
何があっても別れられない
そう心底思っていた
あなたは私にとって誰よりも
かけがえのない人だった
あれから
二度目の夏が巡り来て
あなたの姿はなく
私は風に吹かれ、一人
佇んで……
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「砂の城」
この恋は成就しない
あなたの気持ちは私にはない
その残酷な真実は
ずたずたに私の躰を切り裂いて
唯、心を蝕んで
ああ、あの輝いていた時
眩しかった想い出は、今
砂の城のように
崩れて行く
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「壊れる」
こころが壊れた
からだが壊れた
あなたを想い
唯、涙零れる
初夏の夕暮れに
わたしもまた
こわれてゆく
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「来ない明日」
泣けてたまらない
涙しかない
虚ろな心で
未来のない
明日を待つ