20/70
20.「二度目の春」「あなたが遠い」
「二度目の春」
あなたの影が少しずつ薄れてゆく
あなたの心が少しずつ離れてゆく
あなたの優しい笑顔も
あなたの優しい言葉も
私だけに向けられていたのに
何もかも私から遠のいてゆく
そうして迎えた二度目の春に
冷たい風の中、ただ立ち竦み
色もない
音もない
ただ、荒涼として
隙間風に晒される
あの輝いていた愛は
溢れていた慈しみは
彼方へと消え去り
私は独り取り残されて……
私は
私は
今でもあなたを愛しているのに
__________________
「あなたが遠い」
冬の日の陽だまりの中
あなたの幻に逢う
それはソフトフォーカスで
モノトーンに揺らめいて
それは瞬きの間に
あなたが
だんだん遠くなってゆく……