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14.「道化師の涙」「朝と夜の狂気」「呪文」
「道化師の涙」
辛い
辛い
辛い
あなたの心がわからない
あなたはいったい
何を見て
何を考え
何を感じているの
あなたの視線は私の瞳の奥を通り越し
あなたは私にあの女の姿を重ねていて
私はそんなことすら知らないまま
道化のように虚しく笑う
唯、あの時のあなたの言葉を
ただそれだけを信じて
心から縋って
それしか術のない私は
今宵もまた独り
涙に暮れるだけ
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「朝と夜の狂気」
逢いたい
逢いたい
逢いたい
想いは募る
白昼の喧騒の時間
真夜中の蒼いとき
あなたは何をしているのか
誰を想い、そして今何処に
狂気の妄想は一人歩き始め
そして
今日もまた私はあなたに逢えないまま
白々しい薄明りの一日をひとり迎える
あなたに逢えない朝を
あなたに逢えない夜を
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「呪文」
忘れよう
忘れよう
忘れてしまえ
繰り返し繰り返す
呪文の言葉
けれど
心は今日もまた自分を裏切り
私はあなたの姿を追い求める