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10.「違う人生」「秋の夜」「叫び」
「違う人生」
あなたと同じものを見て
あなたと同じことを感じ
あなたと同じ道を歩いて
あなたと共に生きてきた
それなのにいつから
何故、どうして
私達の視線は交差することなく
もはや擦れちがうことさえなく
違う人生を歩み始めたのだろう
手を携えることすらかなわずに
私達は違う人生を歩み
別々に死にゆく
それが運命
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「秋の夜」
誰も気配すらない秋の夜
彼の人に逢う為に
秘密の書を紐解く
頁を捲れば
優しいあなたが
私に笑いかけてくる
けれど
それは昔
遠い遠い過去からの贈り物
あなたの面影はとうに薄れ
わたしの写真はセピア色に若く
あなたもわたしも二人共に
幸福だったあの頃……
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「叫び」
わかってる
そうみんなわかってる
でも理性では割り切れない
のが感情だ