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聞こえる  作者: ぬこ
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序章

- 序章 -


「俺、好きな人できたわ」


9月のいつだったか。まだ蝉が鳴くほどに暑かった気がする。

俺の十年来の友達がそんな事を呟いたのを覚えている。


何言ってんだこいつ、と思ったのもハッキリと覚えている。


この友達ってのは高校からの付き合いで、田舎から二人して飛び出して

今まで腐れ縁みたいな感じでなんだかんだ一緒にいるやつだ。


名前はショウ。今年で26歳。

AB型のかに座で、少し変わってるけど俺の友達だ。


暑さに参っていた俺は何も考えずに返事をした。


「へー、良かったじゃん。何で知り合ったんだよ?」


「んー、引くなよ?」


ショウ君の悪い癖が出た。

いつも何かしらもったいぶる。


「引かないよ。早く教えろって」


「んー」


「早く」


「どうしようかなぁ」


「もう聞かないよ?」


「わかったよ」


ショウ君はそこから数秒程たっぷりタメてこう言った。


「…チャットだよ」


「チャットかぁ、まじ?」


その当時の俺たちはSNSチャットで女の子と知り合う遊びを良くしていた。

まぁ、若気の至りってやつなのか、田舎から出てきて友達が少ないからか

今となっては分からないが。


「ほらな。引いたじゃん」


「そんな事ないって。それで?会ったの?」


「いや、まだ会ってない」


そうだった。

こいつはとんでもない恋愛体質なのを僕は忘れていたのだ。


「おいおい。会ってないのにもう好きなのか?」


質問ラッシュは続く。


「うん。でもお互い好きなんだ」


「なんで?」


「毎晩朝まで電話してさ。彼女が俺の事好きって言うんだ」


「ふーん。名前は?」


「ユイちゃん」


「ユイちゃんか」


「めちゃくちゃ良い子なんだぜ?かわいいし」


ダメだ、こいつ何とかしないと。そう思った。

ショウ君は極端な恋愛体質というか、自分の事を好きな子にとことん弱い。

昔からそうだ。純情な乙女なのだ。


「かわいいのか。見せてみ?」


「しゃーねーなぁ」


そう云ってショウ君がアイフォンを取り出して

ユイちゃんのアイコン画像を見せてくれた。


「見てみてよ」


化粧が薄いからか素朴な印象だけど、確かにかわいい。


「ほう。顔はかわいいな。で、どこに住んでるの?」


「茨城」






「…え?」






まだ暑さが残る東京の9月。夏が終わるその一歩手前。


時期外れのミーンミーンという蝉の声が物語の始まりを告げる鐘のように

忙しく鳴いていたのを覚えている。


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