4日目 縮まらない距離(奥村視点)
うわぁああああ…………ど、どうしよう……
昨日、朝以外に白井さんと会えなかった……つまり、ボクは約束を放棄しちゃったわけで……嫌われたかも、しれない。
言い訳がましいけど、ボクが白井さんに会いに行こうとすると、色々な女の子に邪魔をされて……うっ……今日も、白井さんのファンからの視線が痛い。
「ねー、奥村くぅーん!!」
「ひ、ひゃいっ!!!??」
「あははっ、《ひゃい》だなんて可愛いー♪」
髪型を変えてから、やけに女の子に話しかけられるようになった。
……けど、ボク……ボクなんかがこんなこと言うだなんて馬鹿げているけど、白井さん以外は……嫌。
というより、この学年の女の子達は全員白井さんのファンだと思うから、凄く怖い。
今、ボクに話しかけてきた子だって白井さんのファン。
だって、昨日話しかけてたから。
「そーいえば、奥村君って明日は暇?」
「そ、それ……白井さんにも、聞いてたよね?」
「あー……白井さんはぶっちゃけどーでもいい」
「ふぇ!!?」
え、あれ!?
この子、白井さんのファンクラブの子じゃないの!!??
じゃ、じゃあ何……? ボク、何かした?
「暇だったらさー、カラオケ行かない?」
「えっと……そ、その……明日は……
というか、今日も明日も白井さんと用事があるから………」
「あはははっ!!
実は、白井さん……今日も明日も忙しいから遊べないってさ」
「え、ええ!!?
そうなの!!!??」
「うん、奥村君に伝えといてって頼まれたの♪」
そ、そんな……じゃあ、特訓はどうするの!!?
ボク一人でやれってこと?
…………あ、そっか。
これは試練なんだ!!
白井さんはきっとボクが立派な男になれるよう、自立ってやつを学ばせようとしてくれているんだ!!!
頑張ろう……白井さんの期待に応えなきゃ。
「それで、カラオケなんだけど――――」
「あ、えと……ごめん。
ボク、自主トレをするから」
「………ふーん…そ、そう、分かった」
そうと決まれば、早速雑誌を見ようっっ!!
よーしっ……頑張るぞ!!!!
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