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1日目 まずは外面を。

「……っつーわけで、これより第一回目の作戦会議を始めるっ!!」



「おーっ♪」





「ほら、まずその《♪》を止めろ!!!

 ココはカッコよく《押忍!!》って言うんだよ!!」



「お、おっ…押忍っっ!!」



「よろしいっ!!」







 告白されてから一日目。


 オレと乙男君は昼休みに誰もいない屋上へ集合し、飯を食いながら作戦会議を始めた。



 相変わらずそわそわしていて落ち着かない乙男君だが、やる気はあるらしく真剣にオレの話を聞いている。



 っつーか…その、一つ気になることがあるんだが……






「………その弁当……」



「こ、これ? これはボクの手作りだよ?」





「はぁあああああ!!?」


「っ!!?」








 オレの声に驚いて、ビクッと全身を震わせる乙男君。


 ……な、なんと、乙男君のお弁当は可愛らしいクマの顔やらタコさんウインナーやら花の形の人参などなど…所謂『キャラ弁』という物だった。



 それに対し、オレの弁当は可愛さの欠片もない日の丸弁当。




 女のオレだってそんな弁当は作れないのに、まさかこんな所まで乙女化しているとは……恐るべし、乙男!!!








「乙男君って凄いんだね…オレにはできそうにない。」



「…え、そうなの……?」



「おう、女のくせに可愛い弁当作れねえんだよなー…見た目もマジで美味そうだしさー」



「………あ、あの…」



「あん?」




「…えーっと…うん………」








 モジモジと体をくねらせる乙男君。




 …何だ、はっきりしろ。









「………ボ、ボク、白井さんのために、弁当作ろうか…?」



「なっ……マジか、乙男君!!!!」




「う、うん…白井さんが喜んでくれるなら……作りたい…!!!」











 ぱあっと笑顔で乙男君が言う。


 …マジか…マジであの弁当が食べられるのか…!!!



 ここは乙男っつーより、料理系男子だから許せる範囲だよな!!よし許す!!!











「よっしゃ!!楽しみにしてる!!!」



「うんっ…ボク、白井さんのために頑張るよ!!!!」










 ……今更なんだけど…昨日もこんなセリフを聞いたけどさ、ぶっちゃけ乙男君が将来パシりにされそうで不安なんだが…




 …あ、そろそろ作戦考えなきゃな……










「乙男君、今日の作戦なんだけど…」



「ど、どんなことしよう……?」






「………まず、見た目をどうにかしようぜ?」




「え、ええっ!!?

 ボ、ボク、整形した方がいいの!!?」









 いや、流石にそこまで言っていない。


 それに乙男君は前髪が邪魔であまり良く見えないが、輪郭はどちらかというと好青年だぞ。



 ……オレが言いたいのはそっちの見た目じゃなくて…









「猫背と内股、まずはそれを直そうぜ」




「……猫背と…う、内股……」









 …乙男君は、常に内股で猫背だ。



 まずはそれを直さなきゃ始まらない。






「そう!!

 真の男ってのは立ち姿が重要なんだ!!!」




「た、立ち姿…こう……?」










 乙男君が座ったまま、背筋をピンと伸ばす。


 ……だが、数分経つと疲れたようですぐに背中が丸まってしまう。




 さあ、ここでオレの出番だ。










「…よし、乙男君…これを背中にさしてごらん。」



「こ、これは……長い…定規…?」









 オレの出したアイテム――――――――とても長い定規だ。


 それを受け取った乙男君は、まじまじと定規を見つめた後、ゆっくりと背中にさす。










「……わ、わわっ…痛い…!!」



「それがあれば、猫背になった時に定規が当たって痛みを生じる。

 つまり、今の自分が猫背か否かが瞬時に分かるんだぜ!!!!」




「ほ、本当だ…うん、頑張る……っ…痛たたっ!!!」









 背中の痛みに耐えながら、弁当を食べる乙男君。



 暫くし、ようやく弁当を食べ終えた頃には乙男君の表情は若干疲れ切っていた。




 さて、次は内股の改善だが…これは……










「…次は内股か……これは、スクワットが一番だな。」



「スッ…スクワッ……」




「内股改善できる上に筋力もアップ…素晴らしい作戦だぞ!!!」




「よ、よしっ……やってみるよっっ!!」










 定規を背にさしたまま、オレと乙男君はスクワットを始めた。



 …え、どうしてオレもやるかって?





 ほら、アレだよ……同じ目線になってやらなきゃ卑怯っつーか…教える側の人間としては同然だろ?








「いーっち…にーっ……さーんっ…」



「ゼェ……ゼェ…スクワットなんて…ボク、滅多にやらな…い…!!!」










 オレは軽やかな速度でスクワットをしているが、乙男君は開始数回で既にバテている。



 …女のオレに負けるだなんて、やはり乙男君は乙男君だな…




 しかし止めないことは褒めるぞ、乙男君!!!頑張ろう!!!










「……にじゅーはーち……にじゅーくー…」



「ゼェ…ゼェ……っ…」




「さんっじゅー……ストップ!!!!」





「はあっ……や、やっと終わった………ボ、ボク…やったよ…!!」









 オレがスクワットを終了させると、乙男君はバタンと地面にぶっ倒れた。


 汗をダラダラと流して肩で息をしていて、今にも死にそうだ……




 そんな乙男君に、オレはタオルを投げる。










「お疲れさん、乙男君。」




「…あ、ありがとう………///」










 ポッと頬を赤くさせながら、乙男君はタオルで汗を拭く。



 …乙女か、とツッコミを入れなかったオレ…グッジョブ。










「っつーか…本当に頑張ってるな、乙男君は……」




「…だ、だって……立派な男になれたら、その…白井さんの…こ、恋人になれる可能性が上がるんでしょ…?」




「ま、まあそうだな…

 お前が一週間以内に立派な男になれたら、告白を断るつもりはないし。」



「だ、だから頑張る…!!

 一日でも早く、白井さんに相応しい男になるっっ……!!!!」








 …さ、さらっと言うな…恥ずかしいじゃんかよ……!!!






 ………という感じに、本日の作戦会議と特訓は終わった。


 聞いた話によると乙男君はこの後、ずっと定規をさしっぱなしで授業を受けていたらしい。



 その根性はとても立派だが、果たしていつまで続くのかな……



 とりあえず、今のままでは前途多難だな…と思ったオレであった。








【NEXT⇒2日目】

実際に内股や猫背を治す際、良く使用される方法ですよね←

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