0日目 こうして始まったのだ。
「―――――好きです!!!
ボクと付き合ってくだひゃ…ください!!!!」
「ごめん、無理。」
ある日、校舎裏で一人の乙男がオレに告って来た。
可愛らしい花柄の便箋で呼び出し、内股でロクに目も合わせようとしない、とても女々しい乙男君。
ハッキリ言って、男らしくない男は嫌いなんだよね。うん、大嫌い。
オレが告白を拒否すると、乙男君は泣き出した。
………ふん、本当に女々しい…
あ、っつーか、勘違いしないでよ?
オレは《女》だからね?
ちょっと他の子より男勝りだから一人称が「オレ」になっただけで、正真正銘の女の子だよ?
イケメンも大好きだよ? 普通にTVに映ってる俳優とか男性アイドルとか…平均並みに好きだからね?
「ねえっ!!
どうして無理なの!!?」
「えーっと、オレってば女々しい男って嫌いなんだよね。
だから無理、パス。」
「じ、じゃあ、あの…えっと……!!!!」
何か言おうとしているが言い止まり、オロオロとし始める乙男君。
……ハッキリしやがれっての。
「ハッキリしてくれない?
オレ、帰りた―――――――」
「なら……ボクに…ボクに男らしさを教えてくださぁあああああいっ!!!」
「へ? ……はあっ!!?」
「あ、あああ貴女から…えと、男らしさを学んで……もう一度告白したいんですっ!!!!!お願いしますっっ!!!」
「え、ちょ、マジかよっ……!!!」
と、突然何を言いだしたかと思えば…女のオレが、男であるはずの乙男に『男らしさ』を教えるだと……!!?
っつーか、乙男君はまた告白してくるの?
…つまり………そんなに、オレが好きなの……?
……仕方ない。
「わーったよ、オレが乙男のお前を立派な男にしてやる!!」
「ほっ、本当っ!!?」
「ただーしっ!!
……一週間以内に男らしくなれなきゃ、オレは何度も告白を断るからな!!!」
「え、でも、男らしくなっても絶対断るんじゃ……?」
「大丈夫だ!!
オレはお前が男らしくなったら、ちゃんとお前と向き合って検討するからさ」
「……わ、分かった!!ボク、頑張るよ!!!」
―――――こうして、女らしくないオレと乙男君の【乙男脱却計画】は始まったのだった……