あの優雅に泳いでいる鯉になれるなら私はなんだってしますよ。
春。
何もかもが新しいこの季節。僕も新しくなろうと考える。
僕の名前は藤蔵次郎
高校二年生です。
周りの人と違うところは、「小説家」兼「漫画家」なのです。
ここで経歴を話しましょう。
中学校三年の夏の始まりのころだったでしょうか。友達と漫画雑誌の漫画募集欄を見つけて、みんなで応募しようってなってね。
そして送ったら、あれよあれよという間に大賞を取ってしまってそのまま連載。その話が終わりを迎え、新しい話を出すとすぐに連載。こうして僕はこの世の天才漫画家と言われるようになりました。
はなしはここで終わりません。小説のほうも似たような感じで今に至るのです。
こうして漫画家兼小説家の僕が生まれたわけです。
なんとか高校には合格しましたが、思っていたよりも勉強が難しいのですね。留年ギリギリでした。
欠点ばかりのテスト。先生には怒られるわ、クラスの人にはバカにされるわ、もうさんざんです。なので僕は春から「学生」になろうと思ったのです!
新学期になり新しい教室に行くと、見覚えのある顔が。
「よっす!また同じクラスだな。よろしくたのむよっ!」
彼は石川穣
「まーた徹夜作業したんだろ。」
「え?どうしてそのことをしってんの?」
「そりゃだって、目の下にでっけークマができてるからな。俺じゃなくたって分かるさ」
穣は僕が小説やら漫画やらを描いていることを知っているやつ。何故かというと、あいつ自身も漫画を描いているから。出会ったのは去年の夏ごろ。原稿を持っていくときに、出版社に行った時のこと。打ち合わせを終わらせて帰るときに、相談室で編集者と話しているときに偶然見て、どっかでみたことあるなーなんて思ってたら、次の日学校で見つけた。しかもおんなじクラスだった。これが出会い。
「ほーら、これでも飲んどけ。」と机に置かれたのはいつも穣が僕にくれる炭酸飲料だった。
すっかり教室は春休みモードから勉強モードに突入した四月中旬、思いもよらないことを思い出してしまった。
それは、ここ県立岩ノ山高校の名物行事と言ってもいい、
「突然テスト」
のことだった。
「あぁ、突然テストのことか。あれはきついよなー。なんせ不合格だったら溝掃除だもんなー。」
「え!溝掃除やるの!?」
「おぉ、そうだぜ。去年もそうだっただろ?」
「いやーね、去年は・・・熱が出たーとか足うったーとかそんなんで全部出てないんだよねー。」
「お前バカだろ。絶対バカだ。でもさ、そんなんなら今回も休んじまえばいいだろう。」
そんなこと言われても・・・一年が終わる終業式の時に・・・担任からさー・・・
「お前なー。突然テスト全部出てないんだってー?いい度胸してるじゃん。今回は進級できるがな、次のテストを一回でも休んだら即退学だからな。」
って言われました。
「お疲れ。としか言えねぇな。しかもテストは明日だよなー。」
ということで穣と近くのファミレスで勉強会をすることになりました。
次の日
あぁ隣で優雅に泳いでいる鯉になれるなら私はなんだってしますよ。
と言いつつ、なんで鯉なんだろーと思いながら学校へ行きました。
「きーんこーんかーんこーん」
ついにテストが始まりました。その時、僕の頭にハッと電撃が走りました。
「出てなかったら駄目なら今出てるから、一問正解しとけばいいや~♪」
しかも、始まる前に先生が
「今回の問題は基礎問題です」って言ったから、今日はもう簡単な問題ばっかじゃないのー♥
なーんて考えながらいざ!問題用紙に!
・・・終わった。今日数学だった。国語は超得意だし、英語は記号問題多いのになんで数学なんだよ!
ま、まぁ今日は基礎問題だしぃー(焦)
問題一
次を解きなさい
(x−3)(x−5)=
分かんねぇーーーーーー ※これは基礎問題です。
数日後
「おい!さっさとそっちきれいにしろ。今日は量が多いんだから」
「はーい」
「結局次郎は溝掃除行きなんだなwしかも0点って。おかしくって涙出てくるよ。」
「うるさいな!さっさと俺の前から消えろ!」
「おい、そこの0点、さっさとしろと何回言わせるんだ!」
僕はまだまだ普通の学生にはなれないようです。