ちいさな邪神が降臨した日
あなたもいつこの苦しみを味わい涙を流すかわかりません
それはもはや抗えない強大な力なのですから
松明に照らされた暗い室内。
窓のないその部屋の床の中央には、円を基本としたよくわからない模様が描かれており、それを取り囲むように10人程があつまっていた。
「……今から、邪神様降臨の儀式を執り行う」
そのうちの一人がそう言うと、他の人たちは声を揃えてなにか呪文を長々と、声を合わせて唱えはじめた。
すると、中央の模様が徐々に光り出し、最後には眩い光と、強烈な風が吹き荒れた。
「っ……成功したか!?」
先ほど儀式開始の合図をした人が、光でうまく見えない目を細めて模様の中心を見ようとしながらそう言った。
すると、そこには白髪の老人が一人座り込んでいた。
「ごふっ!げふっ!……な、なんじゃ!?ここはどがふっ!!」
白髪の老人は緑がかった薄い前を紐で止めるタイプの服と、同じ素材の簡単なズボンを履いていた。
苦しそうに咳をしている彼を、彼らは呆然と見つめていた。
「……この老人が、邪神様?」
最初にそう言ったのは、儀式開始を宣言した彼である。
老人は邪神と呼ぶにはあまりに弱々しく、ここにいる人たちは皆、困惑していた。
「げふっ!がふっ!がっ!……があっ!!」
そしてしばらくはそんな状態が続いていたのだが、突然老人は先ほどとは比較にならないくらい咳込み、苦しそうに悶えながらそのまま動かなくなった。
あまりに突然の事で、彼らは老人が亡くなるのをただ呆然と見ているだけであった。
そして、彼らは落胆した。
わざわざ緻密な計算をした魔法陣も、大量に注いだ魔力も結局は無駄になり、どこの誰かもわからない老人を呼び寄せ処理の面倒な死体を増やしただけなのだから当然だ。
だが、彼らは知らないのだ。
今日彼らが呼び出したモノが、本当に世界を滅ぼしかねない邪神であるということを。
そう、彼らは知らない。
この世界における、魔力を得たスギ花粉の恐ろしさを。
そして、部屋から運び出され、森の真ん中へと打ち捨てられた老人から飛び出した花粉は近くにあった植物へと受粉した。
誰にも知られず、ひっそりと、老人を中心としてスギの花粉が森を浸食する。
気づいた時には、もう遅い。
気づいた時には、皆絶望し、涙を流しながら苦しむ事になるのである。
……突発的におもいついたのだから、怒らないでください
色々変なんも、無視です無視
スルースキルの経験値稼ぎに活用してください
あと、本当に花粉症の方ごめんなさい
不快にさせてしまったのなら、謝ります
申し訳ございませんでした