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八話 相対

サオリと行動を共にすること決めた奏縁は、まずはお互いの「奇跡」を見せ合うことにした。

「俺の奇跡は炎らしいけど、まだ使ったことがないんです」

 開口一番、奏縁は少し不安げにサオリに告げた。


「じゃあ私からのがいいよね」

 サオリはそういうと、手のひらに螺旋状の風を巻き起こした。

「この風、見えるでしょ?私は空気中の微細なエネルギーを集めて、こうやって風を操ることができるの。それの副次的な効果で空も飛べるわ」

 そういうとサオリの足元に新たに発生した螺旋状の風でふわふわと浮上した。

「この奇跡の名は『エアー・スパイラル』。そのまんまね。」

 説明を終えると、サオリは発生させた風すべてをフッと消した。

 

「私の奇跡の出し方としては、ざっくり言えば、体の筋肉を力ませるイメージかな。さ、あなたの番」

 サオリに言われるまま、奏縁は手のひらに意識を集中させた。

 

 シュボッ

 

「うわっ」

 何とも情けない奏縁の声と共に、何とも情けない小さな炎が出現した。それはそれは、きれいな赤色をしていた。

「いい感じ!鍛えれば絶対強くなるよ」

 サオリは奏縁以上に興奮していた。

「魔物にも通用するかな…」

 不安そうな奏縁に対して、サオリは笑顔で彼の肩を軽く叩いた。

「心配しなくていいわよ奏縁。私も最初は風を巻き起こすことさえできなかった。でも、練習を重ねるうちに少しずつできるようになったんだから。」

 

 奏縁はその言葉に励まされ、もう一度手のひらを見つめた。


 「奏縁の炎は、きっと強くて頼りになる奇跡になるわ。名前はそうね、『デンジャラス・ファイヤー』的な?」

 サオリは微笑みながら言った。

 「そんな危なっかしそうな名前は勘弁です……」

 奏縁は笑みを浮かべながら答えた。

 

 「ははっ。じゃあ、まずはその炎をもっと大きくしてみようか?」

 サオリは提案した。

 「炎の大きさと出したい場所をイメージして、今度はただ力ませるんじゃなくて、もっと自然に、ゆっくりと力を集中させて。全身をめぐるエネルギーを集めるように」

 奏縁はサオリのアドバイスに従い、もう一度手のひらに集中した。心の中で炎が大きくなる様子を描きながら、体を巡る何かにゾワゾワとした感覚に襲われながら、少しずつ手のひらに力を込めていく。先ほどよりも少し大きな炎が、手のひらにふわりと浮かび上がった。


 「やった!」

 思わず声を上げた奏縁に、サオリも満足そうに微笑んだ。

 「すごいじゃない!じゃあ、さっそく実践に移ろうか!最初は弱い魔物から倒しに行こう。弱い魔物がまだ残ってるといいけど」

 そういうと、サオリは空を見上げながら続けた。

 「近くにいる魔物を教えて?」

 『はい、半径50m先に魔物が二匹います』

 奏縁は相変わらず声が脳内に直接響く感覚に気持ち悪さを覚えたが、サオリは平然としたまま駆け出した。

 「結構近くにいるわね。行きましょう」

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