30 底抜けの暗さ
おはよう
チュリミ
飯はあるか
はい、ただいま
はい、
いただきます
かゆい
大丈夫?
ああ
そうそう今年はルミヤ社長にお中元贈るの?
ああ、やめる
えっ、大丈夫なの?やめちゃって今まで贈ってきたのに今年はやめるなんて
ああ、もうやめる気付いたんだ、俺いつかとは思ってたんだ
一度贈った中元は
やめ時がわからない
でも、サラリーマンでしょういいの?
ああ、もういい馬花馬花しい
そう、いいと思う
中元やお歳暮なんてその代わりみんなに贈る
仲間へ
出世や保身を計り、中元、歳暮を贈る
いずれ沼に
馬花な男がいてさ
人事権のある人間に、急に中元を贈ったんだ
そう
年齢を重ねて自分の立場を案じ始めたんだ
そう
逆効果だったんだ
そう
見え透いた計らいは、スケベ
そう、どうしたの
翌年は贈らない
一回きりでやめたんだ
そう
何がしたいかわからないだろ
ふーん
で、どうしたの、その人
肩を窄めて歩いてた、いつも
そう
結局、落ちていったよ
お馬花さん、ね
歯痒い奴さ
キャメ
どうなん
痺れんねん
どこ
足や、特に
悔しくて眠れない夜がある
痒くて眠れない夜もある
いきなり泣き出した夜だって
発狂したし、何度も
病院だってとじこめられて
痺れるし、かゆいし
仕事さえ
がばれ
俺は死んでしまいたい
羅患したことだって
ずっとしんでいましたかった
よごれたにんげん、だと
おれはきえてしまいたい
ずっとこわいし、ひとはこわいし、
ずっとないている、またキッチンにへたりこむ
あの時の遺書
ずっとずっとずっとずっと
かなしいかなしい
ずっと苦しいくるしい
ぜんぜんぜんぜん
まだまだまだまだまだまだまだまだまだ
まだまだ、
うたた
かゆいの
うん
がんばれ
アトピーくらい
大丈夫大丈夫
うるせえ!
なってみろよ!
ごめん
病院は
クソ医者ばっかで
やってられっか!
ごめん
クソ!クソ!
クソ!クソ!クソ!
みにくいひとね
わかってるよ!
わかってんだから
なんで産んだんだ
しあわせになるためでしよ
そうだよ、好きで生まれてきたわけじゃねえ!
くらいひとね
うまれてきたらしあわせにならなきゃおかしいだろ!
へえ、そんなふうにおもうの
親のエゴだろ!命なんてさ!勝手に生みやがって!
謝れよ!謝れ!生んでごめんなさいって言えよ!
なにが、うまれてきてくれてありがとうだ!
ふざけんじゃねぇ!
ふこうな人ね
そうだよ!わかつてんだよ!
だから
その
底抜けの暗さが礎なんでしょ
書くっていってんだじゃ!
生みおとされちゃった
働かなくても努力しなくても、クソ人間だって、悪いヤツだって、病気
無条件幸せ制度のおウチ




