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神業代行〜カミワザダイコウ〜 一章 施錠解錠(アンロック) 一部  作者: 杉崎 朱


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第8話 『ペナルティー』

2025/09/26 誤字修正だけしました。



「私、アイドルなのに恋愛してて・・・。先週週刊誌に彼氏の家に入る所が載っちゃったんです。さっきの男性、知ってます。初期からの私のファンなんです・・・」

 


 騒動があり、警察官が到着した。そして、マスコミも同時に押し寄せてきた。

 最後まで裏方に避難しなかった彼女が事情聴取を受けている。そして、不審者二名を自分のファンだと言った。

「その、週刊誌に撮られたって言うのが・・・君なのかい?」

 男性の警察官の方がシンを見て言った。

 そう、シンは不審者が捕まった後も、アイドルに手を離して貰えないのだ。


「いえ、俺は客です。今日はただの付き添いで着ただけです。それで、たまたまあのタイミングでこの方に手を掴まれただけです」

「でもねぇ・・・?まぁ、多分不審者二名が駆け寄ってる最中に転倒して頭を打ったって見立てなんだけど・・・そんなことあると思う?なんか腑に落ちなくて。君、やっぱりなんかしたんじゃない?」


 そう。不審者が突然倒れたり動かなくなった件だ。あまりにも不思議すぎる光景だ。やったのはシンである。しかし、直接手を下したわけでもない。術をかけただけだ。瞳印と手印を合わせる行為が怪しいと言われれば怪しいだろう。しかし


「でも、防犯カメラで見ましたが、彼は顔の前に手を翳しただけです。なんかもう逆にあの状況下でこの子に腕も掴まれて逃げられなくて諦めた・・・風にも見えましたけど?」

 他の女性警察官がシンに都合の良い解釈をしてくれた。

「まぁ、そんな感じです。俺じゃぁもうどうしようもありませんでしたから。なので転んだのかはよくわかりませんが、本当に助かりました。ですのでもう帰ってもいいですか?」

「うーーーーん」

 最初にシンを疑った警察官は納得がいかない様子だ。

「いいじゃないですか、連絡先だけ頂いておけば。何かあったら連絡させて下さい。ではコチラに携帯電話の番号を・・・」

 女性警察官はシンを解放してくれる様だ。









・・・ーーー






「シンっ!!なんでついてこなかったんだよ?!」

 解放されて建物の外に出るとオミが駆け寄ってきて両肩を掴まれた。

「お姉さんと握手するまで他のもの触らないんじゃなかったのか?」

「ッバッカ!!お前!!そんな冗談言ってる場合か!!」

「もう済んだんだから大丈夫だよ。アイドルに掴まれて動けなかったんだ。左腕を両手で掴まれたんだ。もうダメだろう?」

「だけどよっ?!心配するじゃねぇか!!大体お前は何でそんなに普段から冷静でーーー」



 オミがクドクドと説教をしながら先を歩き出した。シンはキツネに視線を寄越した。近くに寄れと言う意味だ。キツネも学習したのでシンに寄る。

「あの女性アイドルに《表印(ひょういんと《強制制御(せいぎょ)》を聞かれた可能性が高い。この力は他人に知られたらなんか罰則があるのか?でも、人前で使えって言ったのはそっちなんだから何もないんだろ?」

「罰則?ペナルティー?・・・もちろんあるよ!!」

「んなっ!!」


 キツネはシンの周りを舞い踊りながら説明を始めた。

「電車の時とはちょっと違うからね!電車の喧嘩は人が止めに入って取り押さえられればそりゃ自然に気持ちも

落ち着くだろう!って考えもあるけど、あの状況でいきなり止まるのはおかしいからね!しかも最初に術をかけられた方は倒れちゃったし!てかそもそもアイドルに()()()()()()()んだし!」

「そうだよ、あれ何で倒れたんだ!?」

「ほら!ただの気持ちが昂った喧嘩じゃなくてさ!あれはもう病的興奮だったでしょ?!だって刃物持ってたってことはアイドルの事刺したりするつもりだったんでしょ?!人質に取るとか?そんな精神状態と興奮状態から心を抑えたら、血圧とかそう言ったのの急激変化で体が対応できなかったんだよ!」

「おい、そんなことまで計算して術をかけなくちゃいけないなんて聞いてないぞ」

「だから全部話すのって大変だよね!」

「おいキツネ・・・」

「シン!心配してんだぞ!聞いてんのか?!」


 途中でオミが入ってきた。


「聞いてる、ごめん、聞いてる」

「まぁお前に何もなくて良かったぜ、はぁー!!安心したら腹減ってきた。ラーメン食って帰ろうぜ」

「俺、ハンバーガーが良い」

「それでいいよ!早く食いに行こうぜ!」



 そう言ってまた歩き出した友人の前にはまだ南京錠の印がある。



 この印はずっと残る。そして、先日学校で起こった騒ぎの犯人扱いされた件に関しては、オミが激昂することはないだろう。これは、その件に対して怒らない”印”だ。

 そう、怒りは本人の心にも体にも悪影響だ。さっきの不審者だって、あの緊張状態や怒りがずっと続けば体にも障る。これで良かったのだ。そう思ってファストフード店へと向かった。



「で、見られたかもしれない罰則は?」

「見られた事はすぐに記憶からなくなるようになってるんだ!代わりにねぇ・・・何だっけ?」

「早く思い出せ」


 一応見られた事自体は記憶がなくなるらしいから口外されないのだろう。しかしその代わりが非常に気になる。シンは折角オミのラーメン欲をハンバーガーに変えてもらったのにあまり味がしなかった。





・・・ーーー




 シンはここ数日気になっていることがある。携帯電話に着信が続いている事だ。知らない番号からの着信は基本でない。そして、ネットでその番号を検索する。たまに掛かってくる知らない番号は検索すると、アンケートやら詐欺まがいの電話などとすぐに結果が出た。

 先日アイドルのイベントで事件に巻き込まれたので、もしや警察からだろうか?と思って警察署の方に掛けてみたが、掛けていないと言われた。


「公衆電話っていうのからかければ?あとは非通知設定にしてかけるとか?」

「・・・お前、変な事詳しいな。それより他にも力に関する規則とか罰則を思い出して教えろよ」

「確かねぇ・・・何だっけ?あ!力や術の記憶を消す代わりになんか執着されるんだっけかな?!違ったかな?あっ!シンまた電話鳴ってるよ!!」

 下校途中。特に周りに人もいない。いないからこそキツネと話しをしていたのだ。

「気が乗らないけどなぁ・・・。良い加減出るか」

 そう言って携帯電話の画面をスワイプした。



「はい」

 もちろん名乗らない。

「あのっ・・・!私っ!!」

 女の子だ。クラスメイトに電話番号は教えていない。そもそも同じ高校のほとんどの人に教えていないんだ。学校の誰かが女子生徒に番号を勝手に渡すのは考えずらい。つまり、悪戯かさもなければ

「間違いじゃないですか?俺は電話するような女の人はいないんで」

「あのっ!ごめんなさい!」

「いいえ、大丈夫です。それでは」

「違うんですっ!!!」


 スピーカーモードにしていないのに音が漏れるほど大きな声で否定をされた。音量にシンもキツネも驚く。


「私っ!私っ!あのこの間のイベントの時に助けてもらった者です!!」

「イベント?」

「あの事件になった握手会のってこと?シン誰かのこと助けたの?」

「あの、俺は誰のことも助けてないんで多分違うと思います。強いて言えばちょうど握手するはずだったアイドルの人と一緒にはいましたけど」

「それっ!私のことです!」


「えええええーーーーー!!!」

 驚いたのはシンではなくキツネだった。





・・・ーーー





 先日の事件のおかげで例のアイドルグループは活動を一時休止している。楽曲のレコーディング以外の仕事は全て一度なくなったらしい。メンバーの精神状態を考慮しての療養だ。そもそも、例の彼女が週刊誌に撮られたことが原因でファンが激昂したのに彼女はこうやってなぜかシンに接触をしてきている。これが見つかったらもう彼女はアイドルは続けられないのではないのか。



 と、目の前にいるそのアイドルを見ながらシンとキツネは思った。



 

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