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神業代行〜カミワザダイコウ〜 一章 施錠解錠(アンロック) 一部  作者: 杉崎 朱


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第46話 『シンガッキ』



「新学期〜!新学期〜!シンは!今日から!新学期〜!」



 シンや甲斐の学校も今日から二学期が始まる。そう、今日は九月一日だ。夏休みの間の課題も問題なく終わった。体調も問題なし。夏バテなどもなく今日から元気に学校に行けるとシンは気持ちを切り替えた。


「結局海には行けなかったねー!でもでも!スズとスズの沢山の兄弟と花火が出来たのはよかったねー!あとなんだかんだ言ってオミもおばあちゃんの所に行ったお土産くれたよね!信玄餅美味しかったー!また食べたーい!」

 制服を着て、鞄を開けてシンはキツネを見た。

「はーい、入りまーす」

「家で待ってても良いんだぞ?」

「いや!シンと一緒にいることが僕の使命なので!!」

 モゾモゾと鞄に入り、シンは肩に掛けた。




・・・ーーー




「ってことで、文化祭に何をやりたいかを決める。ただし、野外の食べ物の出店は全学年で5クラス。この教室でいいなら食べ物の店も構わない。但し揚げ物は禁止。体育館の使用は3クラスまで。希望数が多い場合はジャンケンまたはくじ引きな。週明けのホームルームの時間に決めるからやりたいことを考えておくように。じゃ、今日は以上」


 終業式と担任の話だけで終わった今日。最後には文化祭の話が出た。

「たこ焼き!たこ焼き屋さんやろうよ!!」

 教室でキツネが一人騒いでいる。誰もキツネの声には反応しない。そんな中スズが寄ってきた。

「シン、文化祭は何かやりたいのか?」

「お化け屋敷以外ならなんでもいいかな。裏方希望するし」

「・・・行事は意外と好きなのにいつも裏方だな。まぁ、俺はバレー部があるからクラスの手伝いはどれくらいできるか分からないが」

「雰囲気が好きなだけだよ。表舞台に出たいわけじゃない。だから劇で役を頼まれるのが一番困るかな。カフェとかやって裏でコーヒー入れて、休憩時間に他のクラスを回れれば十分」

「毎年同じだな」


 シンとスズの会話を聞いていたキツネが驚く。


「・・・シンが・・・!文化祭を楽しみにしてるだとっ?!文化祭なんてバカバカしいって言いそうなシンがっ!!あと文化祭は文化祭であって、スズの運動部のバレー部が何するのさっ?!ちょっと僕の理解全然追いついてないんだけど!!」

 言いながらも開けられた鞄にキツネは入る。



 シンが教室を出た所でオミと会った。

「あ、オミ。信玄餅ありがとう。美味しかったよ。母さんも喜んでた」

「そいつぁ何よりだわ、シンのクラスは文化祭どうすんだよ?何やりたいってみんなぼやいてんだ?」

「女子は喫茶店が良いって言ってたな。メイド喫茶がやりたいって。だから男子に裏方お願いしたいって言ってたかな。男子は屋台を出したいって言ってた。他数人は手作りのなんかキャンドルがなんとかって言ってたけど」

「俺のクラスは劇やりたいって奴が多くてな。まぁそうなったら俺は照明でもやっときゃ良いかって思ってんだけど・・・なぁ!休憩時間被ったら一緒に回ろうぜ?!スズはどうせクラスとバレー部の方で休む暇ないんだろうからよ!」

「時間が被ったらね」



「シン、お祭りごと好きなんだなぁ。僕、あまりシンの事まだわかってないかも。まぁ!まだ出会ってから半年も経ってないもんね!これから知っていけば良いし!じゃぁ、ちょっと寝よう」


 夏休みが明けて久しぶりに顔を合わせて同級生達は賑わっている。騒がしい中で喋ったキツネの声は誰にも届かない。






・・・ーーー




「《強制制御(セイギョ)》!!」



【ガシャンッ!!!!!】



 今日も金色の南京錠が浮かぶ。


 街中の喧嘩だ。夏休み期間もそこそこに施錠をしたが、新学期が始まってからの方が登下校中によく問題に遭遇するようにシンは感じた。施錠をしない事もあるが、問題自体の遭遇率が高い。施錠自体は体力を使う事はないが、毎日何かしら事件や騒動がある事に、心の方が疲弊している気がしてきた自覚が芽生えてきた。

 今日は揉め事に遭遇すること三件目。


 一件目は朝から男子高校生同士の喧嘩。

 二件目は女子高生に中年男性が痴漢したとかしないとか

 三件目の今、以前もあったコンビニでの店員とお客の揉め事が大きくなりそうだったので施錠をした。



「人の怒りの大声って聞くだけで疲れる」

「施錠よりそっちの方が心が疲れるんだね、シンは」

 キツネが周囲に人が居ないことを確認して鞄から顔を出してシンに話かけた。


「あんなもん聞きたくないだろう」

「怒ってるわけじゃないけど凄い騒いでる若者がよくいるじゃん!ああいうのも苦手?」

「・・・耳が良すぎるのか悪いのか、あまり大きい音は好きじゃないかな」

「音かー!じゃあみーたんのコンサートとか大変だったんじゃないの?!」

「正直いうと結構堪えた」


 自分は強運体だという恵まれた人間だという話だったが、施錠の力を受け取った為か最近このように巻き込まれたり遭遇率が高い事に、いかに自分が今まで恵まれていたのかということを痛感したシン。

「(他の人はこんなの日常茶飯事なのか?俺が施錠の力を受け取ったら増えただけか?もしこんなに問題に遭遇するのが当たり前だとしたら俺はやっぱり今までは強運だったんだな。俺の周りでうるさかったのは叔父さんとオミだけだったもんな・・・あれ、そういえば)」

 

「みーたんって夏休み後半から名前全然聞かなくなったよね!ニュースでもネットにも出ないし!元気かなぁ?!全然連絡ないもんね!」

「言うな、噂をすれば影って言うだろ」

「まさか!だってさっきからこの辺誰もいないよ?後ろだって誰もついてきてないし」

「でも声はなんか聞こえるだろ?」

 シン達が歩いてきた後方、曲がり角の奥でなんだか不穏な声が聞こえた。


「ちょっ!離してよ!!私急いでるの!!見失っちゃったらどうすんのよ?!」

「ダメです!!貴方今すぐ戻ってください!危険です!」

「何が危険なのようるさいわね!?せっかく出られてやっと見つけたんだから邪魔しないで!!」

「そうは行きません!!彼に接触しないでください!!」


 シンとキツネが顔を見合わせる。また揉め事だろうか。二人の声が聞こえる。そしてどちらも女性の声だ。面倒事はごめん被りたいが、ここまで来ると逆に放っておいて何かあっても心残りや後悔に繋がっても後味が悪いのでシンは来た道を引き返した。曲がり角に二人分の影が見えた。なんだか揉めている様な動きをしている。


「彼って何?!?貴方の彼氏って事?!嘘でしょ!?」

「そう言う意味じゃないです!彼とは知り合いですけど!知り合いだからこそ貴方みたいな人に近寄られると困るんです!!」

「ハハーン?私が可愛いから取られちゃうとか思ってるんでしょ?!取られちゃうんじゃなくて私の彼なんです!!多分!あまりよく覚えてないけど!違うとも言われたけど!」

「ちょっと意味わからないです。とりあえずここから離れてください!」

「やだ!!シンくんに会って話すまで帰らない!!」


 突然聞こえてきた自分の名前にシンは驚いて言葉を発してしまった。

「え?俺?」


「え?!シンくん!そこにいるの?!私!みーたんだよ!!」

「ぎゃぁぁあああーーー!!本当にみーたんの影ーーー!!」

「瀬条くんそこにいるなら逃げて!!」

「国生さん!?」

「なんで私よりこっちの子に先に反応するのよー?!」





・・・ーーー




「やっと!一応!退院したのー!」

「でも、勝手に出歩いて良いわけじゃないですよね?所属グループの進退も何も発表されてないですよね?」

「やだー!シンくんグループの情報追ってくれてるのー?!嬉しいー!」

「何この人。話にならないんですけど」


 シンに会えて嬉しいみーたんと、この再会を面倒に思っている国生との差が激しい。

「ねぇ、この人誰?!?ってかその制服見覚えある!私が通ってた学校の近くの高校だったわ!そこの生徒が本当にいつも気に食わなくてね!お高くとま」

「瀬条くん、一応今の事態を手短に伝えるわね」

「ちょっと!私の話を遮るんじゃ」

 国生は手元のスマートフォンを持っている手でスクロールしながら話す。

「この人、今日はここに来るまで散々いろんな人に見られたみたい。SNSにわんさか情報が載ってるの。駅をうろついたみたいで写真とか動画付きでアップされてる。ファンじゃない人も凄い関心持ってるわ。そりゃそうよね。刺されて記憶喪失だって言ってるのに髪の毛切って街中うろついているんですもの」

「え?!せっかく髪の毛切ったのに私だってもうバレてるの?!うそーん!!」

「で、問題はここから。この彼女の前からのアンチだけじゃなくて、グループの活動休止になった原因として他のメンバーのファンの子が凄く怒り出してるみたい。問題児が好き勝手出歩いてて他のメンバーはちゃんと大人しくしてるんだからそうなるわよね」

「そんな事言ったって記憶ないんだしー」


「で、問題って言うのは?」

 シンが核心に迫った。



「殺害予告がSNS上に沢山書かれてるの」



 騒ぎ続けていたみーたんもこの言葉には流石に黙った。

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