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神業代行〜カミワザダイコウ〜 一章 施錠解錠(アンロック) 一部  作者: 杉崎 朱


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第40話 『アクガミサマ』



「この事態は、さっきも言った『悪神(あくがみ)』様によって起こされている事なの」

「悪神様・・・」

「バチ当ての力を、生まれる前にぶんどるの。それを元に沢山の施錠の力と解錠の力を作るわけ。その一つを受け取ったのが瀬条くん、貴方って訳。ちなみに!バチ当てには総代と副総代っていうのがいるの。私は副総代。そちらの甲斐さんも前世は副総代。つまり、バチ当てのNo.2って事」

「ちなみにバチ当ての総代の力はヤバすぎるからな。今の総代はどこのどいつだ?」

「いくら前世バチ当て副総代で現・解錠の貴方にも詳細は言えません。ただ、まだ若いわ。それだけは言えます」

 なんとなくはわかるが、全貌まではイマイチ見えないシン。しかし、目の前の自分と近い年の少女がずっと話題に出ていたバチ当てで、しかもNo.2と凄い人だというのはわかった。


「・・・バチ当て様や解錠の力の持ち主は、施錠の力の持ち主が嫌いだと聞きました。会わない方が良いとも甲斐に言われました。貴方は俺の存在が嫌だったりしないんですか?」

 シンの質問に先に答えのは甲斐だった。


「施錠の力が解錠の力に狙われる理由は単純だ。解錠の力の持ち主のほとんどが前世がバチ当てだ。バチ当ては施錠の力をよく思ってない。人の気持ちを操作することに反対だからだ。だからこそ、その力を持つものイコールその力を欲した者の性格、思想が気に入らないんだよ。俺も自分がバチ当てだった時に施錠の力はいらないって思ってた。本人が感じた感情の熱意を無理やり捻じ曲げるんだ。よくねぇに決まってんだろ」

「けど、怒りすぎると血圧も上がるし体に良くないだろう?間接的に本人と医者の助けにもなってる気がするけどな。ずっと怒ってる人を放っておいて病気したり、他の人に八つ当たりしたりじゃ、負を撒き散らしているだけだろ?」

「お前も施錠を作ったダメ神と同じ思想だな。まぁ、だからこそ力を受け取ったし受け取れたんだろうけどよ。つまりだ、施錠の力は一見凄く有能かのように思えるが、”自然”ではないんだ。あくまで操作されたものだ。”不自然”というのは不自然にされた当人をやがて狂わす。他人がどうこうして良い問題じゃないんだ」

「怒りが原因で体を壊しても?」

「自己責任だよ。制服のスカートと一緒だって・・・あれ?スカートとは逆か?!兎に角、施錠の力はバチ当てからも解錠の力からも嫌われてる。俺はあまりお前に対してそこまで怒りは湧かない。なんでだか知らねぇけどよ。でも他のバチ当てや解錠の奴からは疎まれてる。それこそ中には血気盛んなやつがいるから攻撃されるぞ。バチ当てと解錠には施錠の力は通用しないからな。肉体のポテンシャルを持ってして戦うか逃げるかしか選択肢はねぇからな」

「・・・そうか。やっぱり甲斐だけは特別なんだな」

「それは俺が今は女で女の脳みそだからかも知れない。男だったら殴ってたかもな」

「女でよかったね!!」

「お前は殴る」



「まぁスカートの話はよくわからないけど、他のバチ当てなら、貴方が施錠の力の持ち主だとバレたら嫌悪されるわ。でも、バチ当ても力の強さはバラバラでね。貴方を見てわかる人もいれば、まぁわからない人のいるわ。解錠も一緒。嫌悪感を持たないのは、私は貴方を”強運体”だと見抜けるからよ。強運体はね、強運故に”最悪な事態には陥らない”の。力の強い者はちゃんとわかるから強運体に嫌悪感は抱かないわ。だから私とかは大丈夫よ。


 でもね。そんな強運体に力を授けた悪神様は本当に憎いわ。強運につけ行って悪事をさせてるんだから」


「そんなこと言わないで!!」

「黙りなさいキツネ!!」

「この世界の力持ってる女の人って全員こんな感じなの?!」

「俺を女にカウントするんじゃねぇ!」




 ここにきてやっと初めて頼まれた飲み物に手を伸ばした。




「でも、なんでまた強運体に力を授けるなんてとんでもねぇ事しやがったんだ」

「わからない・・・でも、多分今代のバチ当て総代の力があまりにも強いことが関係してるのかもしれない」

「はぁ?どんだけ強いんだよ?神の術でも跳ね返すくらいってことか?」

「そうなの」

「そんな奴生まれて良いのかよ?!」

「生まれちゃったんだから仕方ないでしょ!?」

「ど、どういうこと・・・?」

 シンはまた話に置いていかれないように時折口を挟んで主張する。


「つまりはだな、存在こそ人間だけど、神と同等の力を持ってるって事だよ!」

「それって・・・最早神じゃ・・・」

「だからとんでもねぇことだって言ってんだよ!」


「・・・本来、悪神様はバチ当てが大好きなのよ。特に力の強い総代が大好きで執着してる。でも、今代程の力の強い総代は今までにいなかったの。そこに、今まで存在することのなかった強運体+施錠の力を持った君が誕生した。関係があると勘ぐりたくもなるわ」

「施錠と解錠の力自体、バチ当ての負担減らしが本来の目的だからな。・・・そうか!シンが強運体だから施錠の力も強くなって・・・!」

「何それ、どういうこと?」

 国生の顔つきが怖いものに変わった。関係ないキツネがビクッとまた震えている。


「あ・・・俺。夏前に施錠をした時に、印の色が赤から金に変わったり、二人同時に施錠出来たりとか・・・」

「・・・なるほどね。それも目的の一つって事ね・・・つくづく、私達バチ当て想いの嫌な神様だわ。おせっかいなのよ・・・」

 ここでもう一口飲み物を飲んだ国生が気づいた。

「金色の施錠?じゃあこの間のお祭りで輩を施錠したのが瀬条くんか。なら納得だわ。」

「そうです・・・あ!そうか!あの時二人施錠したのに男性しか施錠されなかったのは国生さんが”バチ当て様”だから・・・!」

「それもあるかもしれないけど、そもそもあれくらいのイチャモンに冷静さを欠くことはないわ」

 




 ずっと話を聴いていたキツネが、会話が一旦落ち着いた事で気になる事を聞き始めた。

「あ!そうだ!あれ知りたい!」

「黙れ、キツネ」

「甲斐くん!みーたんの事だよ!」

「うるさいわね、キツ」

「確かに・・・」

 甲斐と国生がキツネの言葉を無視しようとしたが、『みーたん』の名前に甲斐は反応した。


「アイドルの”みーたん”知ってるか?」

「知ってるわよ」

「あいつ、シンの施錠を目の前で見て、ペナルティーが発生したんだ」

「・・・?!なんですって?!」

 一度驚いて立ち上がったが、国生はすぐに深く座り込み物凄く考え込んでいる。シンと甲斐は次に国生が話し出すのを待った。


「多分だけど、みーたんがこの間刺されたのは、”強運体”である瀬条くんへの負のエネルギーをみーたんが受けたって事よ」

「え?だって俺は最悪な事態にはならないんじゃ・・?!」

「だからよ。周りに分散されてあなたは不幸を受けづらくなっているの。ただの強運体ならここまで残忍な事自体身の回りで起こることはないんだけど、あなたは施錠の力を受け取った。本来、強運体であるだけならこんなことは起きないわ。施錠の力を受け取ったから、その(ことわり)がおかしくなってるの。それを肩代わりしたのが・・・アイドルの彼女。みーたんって事ね」


「じゃぁ、彼女が刺されたのは俺のせい?」


「あなたのせい・・・ではないわ。多分、そもそもあなた彼女になんかされたんじゃない?施錠を見られる前」

「いや、特に・・・刃物を持った男が近寄ってきて逃げようとしたけど、彼女に掴まれてて逃げられなくて・・・それで仕方ないから彼女の目の前で施錠したんです」

「だからよ」

「・・・俺はそれを聞いてもわかんねぇな」

「強運体が自ら危険から離れようとしたのに、みーたんは『逃げようとする瀬条くんを引き止めた』。施錠をするものの業を妨害しただけでなく、強運体を危険に晒すなんて事、バチが当たっても仕方ないことよ。いくら一般人でわからないとは言えね」

「じゃあ!!ペナルティって!!罰則って!!施錠を見られたから付き纏われるっていう迷惑をシンが被るんじゃなくて・・・!」

「そう、みーたんに対するペナルティって事。施錠を危険に晒したから身代わりになるわけ。さらに彼は強運体だから。その双方を危険に晒したんだからね。だから身代わりに不運や罰を受けるために執着して近くにいようとするわけ」

「何それ!!怖い!!シンは強運体だからそれが余計に強くでたって事?!」

「多分ね」


「なるほどな。なんであれだけみーたんがしつこいかやっと理解ができた。お前が強運体だったからか・・・」

 言って飲み物に口をつける。そんな甲斐を見て国生が疑問に思った。


「あれ?でも甲斐さんも副総代だったのよね?なんで知らなかったの?明治生まれだったら知ってても・・」

「あー、まぁ・・・会議に出なかったりとかちょいちょいあったからなぁ・・・」

「会議にでない副総代・・・?明治生まれ・・・あぁああああーーーーー!!!!!」

 国生が突然大声を上げた。しかし、ファストフード店で学生が多いこの店ではこのように突然声を上げたり、なんなら騒いでテンションが上がり悲鳴が聞こえることなどよくある。周囲も一瞬シンたちを見るが、学生が話しているだけとわかるとすぐに自分達の話に戻る。


 驚いた国生は、叫んだ自分の口を押さえて落ち着こうと鼻でゆっくり息をしている。


「だ、大丈夫ですか?」

「なんだよ、俺のこと知ってんのか?」

「甲斐くん悪で有名だったり?!」

「んなわけねぇだろ。テメェのシェイク飲むぞ」


「・・・まぁ、そんな所ね・・・」

「マジ・・・かよ」


 国生に悪と肯定された甲斐の目がまん丸く見開かれた。

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