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テーマ詩集:雨

業の雨

作者: 歌川 詩季

 生き地獄だ くたばりゃそこは極楽だけど

 現世はおおかた そのなかごろにあって

 針の(むしろ)には くるまれるだけありがてえと

 すっぱだかの連中に目をやり

 がらにもなく感謝を(ささ)げた


 焼け野原 ひろがる地には (ごう)の雨が降る

 濡れてやるこた できねえからさ

 番傘 くるりとまわすんだ


 善悪ではかるより 愛憎を語ろうぜ

 さかさまに(はりつ)けて さらすための姿かよ

 善悪で(さば)くより 哀悼(あいとう)を述べようぜ

 まだしばらくはやみそうにない 雨模様(あまもよう)には



 見て地獄だ 聞いてるぶんは極楽だとさ

 現世はあらかた もうしゃぶりつくしたが

 砂のお城には (こも)れるかぎり(こも)っとけと

 門を閉めきるやつらに横槍

 石垣にも蹴りをくれてやる


 火山灰 積もった地にも (ごう)の雨が降りゃ

 濡れてやるしか できねえからさ

 編み笠 深くかぶるんだ


 善悪をくだすより 愛嬌でしのごうぜ

 あべこべにこじつけて なしくずしの日がめぐる

 善悪を告げるより 哀愁に暮れようぜ

 まだとうぶんは去りそうにない 雨足(あまあし)ぺたり


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― 新着の感想 ―
[良い点]  語り手さんは「人」なのか、「ならざる者」か。  アウトロー的なイメージですが、弱者に寄り添うような温かみを感じました。    >雨足ぺたり  ここ、本文にも出てきましたが、愛嬌がある…
[一言]  どうしようもない世の中でも、世を恨まず人を恨まず。  周りと今を見ながらも、思いのままに生きていく。  身は流されながらも心は流されない、そんなしなやかな強さを感じます。
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