業の雨
生き地獄だ くたばりゃそこは極楽だけど
現世はおおかた そのなかごろにあって
針の筵には くるまれるだけありがてえと
すっぱだかの連中に目をやり
がらにもなく感謝を捧げた
焼け野原 ひろがる地には 業の雨が降る
濡れてやるこた できねえからさ
番傘 くるりとまわすんだ
善悪ではかるより 愛憎を語ろうぜ
さかさまに磔けて さらすための姿かよ
善悪で裁くより 哀悼を述べようぜ
まだしばらくはやみそうにない 雨模様には
見て地獄だ 聞いてるぶんは極楽だとさ
現世はあらかた もうしゃぶりつくしたが
砂のお城には 籠れるかぎり籠っとけと
門を閉めきるやつらに横槍
石垣にも蹴りをくれてやる
火山灰 積もった地にも 業の雨が降りゃ
濡れてやるしか できねえからさ
編み笠 深くかぶるんだ
善悪をくだすより 愛嬌でしのごうぜ
あべこべにこじつけて なしくずしの日がめぐる
善悪を告げるより 哀愁に暮れようぜ
まだとうぶんは去りそうにない 雨足ぺたり