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研究発表会・2

遅くなってごめんなさい。キリのいいところまで行かなかったので、とりあえずの投稿です。




 ガララっと戸を開けて入ってきたのは。


「わ、誰もいないじゃん」


 …………。


「なんだ、ユリアーナか」

 思わず心の声が漏れてしまった。

「何だって何よ……」

「や、別に他意はありませんとも。ただ、ちょっと期待外れだったなってだけで」

 だってどうせ、コイツじゃお客にならない。術師の卵だし。どうせなら、商人とかそこら辺の人に来て欲しかった。

「失礼だなぁ……。でも、お客は連れてきてあげたよ?」

 

 おお、それはそれは……。

 ちょっとユリアーナのことを見直した。

 そして、連れてきたそのお客は……。


「こんにちは、アルベールくん」


 げ。


 少しくすんだ金髪に、むかつくほどに整いやがった顔の造形。そして振り撒かれる善人オーラ。

 人位級水術師にして、辺境の天才。


 モルガン・モーリアック。


 俺がこの学院で最も苦手なヤロウである。

「……ちょい」

 モルガンは一旦無視して、こいつを連れてきやがった張本人(ユリアーナ)を手招きしてよぶ。

「(なんでこの人連れてきたんですか? 苦手なの知ってますよね?)」

「(しょうがないじゃない、なんかついてきたんだもの。断れないでしょう?)」

 ちっ、この優柔不断めが。

 このユリアーナは、モルガンも所属する『超極高速詠唱研究会』に一応在籍してるので、そのつながりで絡まれたのだろう。幽霊部員とはいえ、研究発表会の手伝いくらいはしないといけないだろうし。

 まあ、来てしまったものはしょうがない。丁寧に教えて差し上げて、格の違いってやつを見せてやるとするか。


 よっこらせ、と立ち上がる。


 パチン(スカッ)っと指を鳴らし、机に置いてあるとっておきのブツを起動する。ちなみに指を鳴らす必要性は皆無。ただやりたかっただけ。……そもそも鳴らなかったけど。

 まあともかく、そのブツを起動したことにより、元々薄暗かった部屋がさらに暗くなった。


「うぇっ!?」


 え。モルガンの声やらユリアーナの小さな悲鳴やらに混じって、何か知らない人の声が聞こえたのだが。この教室には、俺とモルガンとユリアーナしかいなかったはず……。

 なんだか怖いので、とりあえず術で明かりをつけた。


「【灯火(ライト)】……え、誰?」


 なんと、モルガンの斜め後ろあたりに、見慣れぬ1人の男子学生がいたのだ。さっき、モルガンたちが入ってきた時にはいなかった……ハズ。モルガンより頭一つ分ほど小柄だが、割と普通な感じの雰囲気なので見逃していたのかもしれない。何せ、他のメンツが濃ゆいものだから。

 まあ、ここは一応研究発表会のブースなので、誰が入ってこようと問題はないのだが……。

「ええと、どなた様で……?」

 とりあえず訊いてみる。

「え、いや、同じクラスなんだけど……。まさか認識されてない? え、もうこのクラスになってから半年経ってるんだけど。それちょっと……悲しくない?」

 とかなんとかぶつぶつと呟いた後、

「──ハッ、このオレを知らないとは、やはり平民は平民だな。しょうがないから教えてやろう! オレの名はジョシュア・ランス! 由緒正しきランス伯爵家の次男! 人呼んで──《伯爵家の突撃槍(ランス)》!!」


 伯爵家のwww突撃槍www


「え、ジョシュってそんな風に呼ばれてたっけ……?」

「……領地じゃそう呼ばれてんの!」

 あ、地域限定有名人のノリで都会に出てきちゃったヤツや。ちょっと悲しい。


 ともかく、この自称・伯爵家の突撃槍くんは俺と同じクラスだったらしい。そういえば、モルガンにいつも絡んでるこんな感じのチビがいたような、いなかったような……。

 まあ、モルガンにひっついていたのを見逃したのだろう。

 さて、では気を取り直していこう。

 とりあえず【灯火】を消して、次なる魔法陣を起動する。

 魔力を流し込むと、一瞬の間を開けて魔法陣が光り、机の上に置いてあった物体から色とりどりの光が漏れ出した。

「綺麗……」

 ユリアーナが、ほぅ、と感嘆の声を漏らす。

 

 これぞ、突貫で作ったミラーボール(人力)。光らせるのから回転させるのまで、全部人力。原理としては、真ん中に術で光源を作り、それを【美白結界(ホワイト・キーパー)】の作成過程でできた、一部の可視光線を遮る結界で覆ったという簡単なものだ。回すのはどうしているのかというと、向こうからは見えないところにあるハンドルを手で頑張って回しているだけ。とてもアナログな感じの装置である。まあ、一週間ではこの程度しかできなかった。実際はそれほど時間はかからなかったが、そもそも内装の手抜きを誤魔化すために作ったので、あまり手間をかけては本末転倒なのだ。


 

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