間話 〜同時刻、クリストフ邸にて〜
同時刻、クリストフ邸にてーー
「おお、この子がミーティアちゃんか! アイツの娘とは思えないほどかわいいな!」
一人の男が騒いでいた。
「あの……。あまり大声は出さないでいただけると……」
「おお、申し訳ない」
「び……、びゃぁぁあぁあ!」
男の大声に驚いたのか、寝ていた赤ん坊が泣き出してしまった。
「あらあら……」
母親らしき女性が、抱き上げてあやすが、なかなか泣き止まない。
「びゃああぁぁぁああああ!」
「おおぉ……」
全ての元凶である男は、オロオロしているだけだ。
役に立たない。
「い、いないいない……、ばぁ!」
それでも、足りない頭を振り絞って必死にあやそうとする。
しかし。
「びゃあああああああぁぁぁぁああ!」
男のゴツい顔に驚いたのか、さらに泣き出してしまった。
「ティアちゃん、お外行きましょうか」
オロオロする男とは反対に、落ち着いている女性がそう言う。
「びゃあぁあああ……!」
外に出ると、少し気分が落ち着いたのか、泣き声が少し落ち着いてきた。
風でも吹いたのか、近くの茂みがガサガサと揺れる。
「むっ」
唐突に男が身構え、腰の剣に手をやった。
すると、先ほどの茂みからゲル状の物体が飛び出して来た。
「スライムか。……ふっ!」
男が即座に剣を抜き、スライムに向かって踏み込む。
「ハッ!」
そして、剣を振り抜いた。
その軌道は、スライムの核をスッパリと両断していた。
「ふぅ……。大丈夫でしたか」
男は剣を鞘に収めて言う。
「ええ……」
「キャッキャッ!」
赤ん坊が笑っている。
男が空を見上げる。
太陽がもう真上まで来ていた。
「もうこんな時間か……。それでは、俺はこの辺で」
「ええ、さようなら。……先程はありがとうございました」
「いや、これが仕事ですんで。では」
そう言って男は、家へと帰っていった。
そして、これが新たな伝説の幕開けとなるのだったーー




