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登校2日目

本日2話目です。

「さむっ」


 玄関の外に出ると、冷たい風に襲われた。今日は一段と寒い。例年なら、この時期になると少しは寒さも和らいでくるものだが、未だにそこらへんに雪が残っている。

 それもそのはず。

 ここ王都は、前に住んでいたネサンス村よりも北の地にあるのだ。寒くないはずがない。大昔はもっと南にあったらしいが、いつだったか今の場所に遷都したらしい。時の国王は余計なことをしてくれたと思う。



 今日は登校2日目。

 今日から本格的に授業が始まるらしい。どんな授業かは知らないが、まともであってほしい。


 袖に手を引っ込めて風を防ぐ。いわゆる、萌え袖というやつだ。この時ばかりは大きめサイズの制服で良かったと思う。

 手に持つ鞄は、昭和の不良のように薄っぺらい。テキストも何も貰っていないし、そもそもあるかどうかさえ分からないので、中に入っているのは筆記用具と魔導書くらいだ。魔導書は無いと何だか落ち着かないし、そもそも無いとまともに術を使えない。なんせ詠唱を覚えるのをサボってたもので。

 そんなもんだから、いつも持ち歩くようにしている。

 これについてはそのうち改善が必要だ。

 魔導書といえど所詮は本、火がつけば燃えるし、簡単に破ける。そうなった時のためにも、詠唱をしっかりと習得しておく必要があるだろう。

 魔導書が無いとほぼ無力であることは、先の試験の時に露見したのだから。

 どうせ授業でもやるだろうし、その時にもう一度学び直せば良いだろうか。


 そんなことを考えながら歩いていると、既に学院の門の前へと到着していた。門の中へと入っていく生徒はまだいない。それもそのはず、まだ登校時間には早すぎる。

 俺は少しやりたいことがあったので、早めに家を出てきたのだ。

 

 朝早くから門の前に立っている守衛の人に軽く会釈をして、門を潜る。


 そういえば、またあのオッサンじゃなかったな……。まだ詰所でグースカ寝てるのだろうか。それとも、あまりに人相が悪いので解雇されたか……。

 もしそうだとしたら笑える。


 ◇◆◇


 教室に入ると、先客が1人。俺の隣の席の男子生徒だ。名前は……何だっけか。忘れてしまった。

 これでも結構早く来たつもりだったのだが、上には上がいたらしい。

 扉を開けた時に少しこちらに目を向けただけで、あとは無言。あちらさんも関わるつもりはないのだろう。こちらとしては都合がいい。

 とりあえず、人が来る前に用事を済ませることとしよう。

 

 鞄を机に置き、紙切れを取り出す。これは昨日帰ってから書いた魔法陣だ。

 なんて事はない、【土槍(アースランス)】を少し弄っただけのものだ。


 これを使って何をするのかというと……。


 ズバリ、椅子のカスタマイズだ。

 俺は身長が低いので、普通に座ったら黒板が見えないし机に手が届かない。昨日座ってそれに気がついたので、椅子を高くするのだ。

 あと足置きもつけてしまいたい。

 最終的には、ファミレスとかに置いてある幼児用の椅子みたいになる予定だ。


 許可は取ってないが、まあこの程度なら問題ないだろう。最悪、術でつけただけなので簡単に解除できるし。


「んしょ……」


 椅子をひっくり返して脚を上に向ける。あとは簡単、魔法陣を貼っつけて起動するだけ。

 微かな光が紙と脚の間から漏れ、紙を押しながらニョキニョキと椅子の脚が伸びた。色がまったく違うので境目は丸わかりだが、寸法はぴったり同じ。


 あとの3本も同じようにする。

 あっという間に、背が高くなった椅子が完成した。座ってみてもガタガタするような事はない。強度も十分。個人的にも満足な出来栄えだ。

 詠唱でやったならば、おそらくこうはいかなかっただろう。おそらく長さに微妙な違いが出ていたはずだ。まったく同じものができるのも、魔法陣の強みだろう。


 

「な、なんだそれ……!」

 隣の席から戦慄くような声がした。

「……んぉ?」

 目を向けると、名も知らぬ隣人さんが魔改造椅子を指さして震えていた。

 

 大規模な貧乏ゆすりかな?


 ……冗談です。

 これはやってしまっただろうか。ここまで反応するのは予想外、どう弁解するか……。

「えーと、これはあれです、椅子の潜在能力を引き出して……」

「い、椅子の潜在能力!?」

 マジか、みたいな顔をして驚いている。チョロい。

「冗談です。普通に、ちょっとした土術ですよ」

「あ、ああ、そうだよな……。でも、今詠唱しなかったような……」

「これですよ、ほら」

 手に持っていた紙切れを見せる。

「紙?」

「魔法陣です」

「ああ、なるほど……?」

 隣人さんは少しモヤモヤしているようだ。魔法陣についてあまり詳しく無いのだろう。


 その後もチラチラとこちらを気にしていたが、特に話しかけてくることはなかった。

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