表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/87

剣術

とっても遅れてごめんなさい。

「魔導書、ね……。いいんじゃない? ……よし、じゃあ早速魔物の革を()りに行くかな!」

 

 クリスはそう言って意気揚々と立ち去……らなかった。今まで一言も発しなかったミーティアが、クリスの服の裾を掴んでいたからだろう。


「父様、アレ……!」

 少し拗ねている様子だ。

「……おおそうだ。忘れてたよ。……えーと、今日ここにきた本来の目的なんだけど、まぁ詳しくはミーティアから、ね?」

「えっ」

 クリスの唐突な振りを、予想もしていなかったのかミーティアは驚いた様子でクリスを見上げている。

「いいかい。頼み事はね、自分でするものなんだよ?」

「んむぅ……」

 少し不満げだが、なぜかヴァルターの方を向いて。

「………………おじ様、私に剣を教えてくだしゃい!」


「ぷひっ」

 噛んだ。噛んじったぞ!

 思わず吹き出してしまった俺を、ミーティアが真っ赤な顔で睨む。

 

 そう、剣を習いたいだなんて大事なセリフの最中で噛むなn…………剣!?


「まぁ、そういうわけでミーティアに剣術を教えてくれないか? 僕のアルベール君の家庭教師代として」

「お、おお、もちろんいいぞ。ただ──」

 ミーティアが剣に興味を持ったのが嬉しいのか、ニヤニヤしている。

 が、一変。真面目な顔をして続ける。

「──条件がある。

 真剣に取り組むこと。途中で投げ出さないこと。そして、その力を絶対に悪用しないこと。

 これを守れるというのなら、教えてもいい」

 

 どうだ?とミーティアに目線で問いかける。

 

「できる!」

 ミーティアは元気いっぱいに、そして自信満々にその問いに答える。

「そうか。じゃあ明日からだな。ただし! 絶対に覚えておけよ? もし約束を破ったら、俺は二度と剣を教えない」

「──っ! うん!」

 ヴァルターの真剣さが伝わったのか、こちらも幾分か真剣な様子で返事をする。


「……やたっ」

 が、すぐ破顔して小さくガッツポーズ。


 よかったね、教えてもらえて。

 俺が他人事のようににっこりと笑って、うん、うんとうなづいていると、ヴァルターがジト目をして言った。


「……アル、お前もだからな」


「…………ふぇっ!? 僕も!?」

「いや、元々剣に関しては教えようと思っていたし、丁度いいかと思ってな」

「いやでも、僕は術師志望だから、剣は別にいいかなぁとか思ったり……」

 運動なんてお断りだ! こちとら運痴のインドア派だぞ!

「なぁにを言っているんだい、アルベール君! 術師にも体力(きんにく)は必要だよ?」

 そこに、どう見たって運動ができるようには見えないクリスが口を挟んでくる。

「えぇ……。そうですか?」

「そうだとも! こんな言葉があるんだ。『術師もね 魔力切れたら ただの人』。真理を表していると思わないかい?」


 2年間かけて鍛えた、俺の魔力がそうそう切れるとは思わないが……。最近では、ちょっとやそっとじゃ倦怠感さえ感じないし。

「いざという時に頼りになるのは、己の肉体なのさ!」

 スッゲェ脳筋発言。やばい。クリスの知的なイメージがどんどん崩れていく。まぁ、初対面から崩れまくりだったが。


 …………まあ、クリスの脳筋は置いといて。

 言っていることは正しい。ただ表現がちょっと脳筋っぽいだけで。

 もしかしたら、魔力が切れて『いざという時』がくるかもしれないし、俺の魔力が絶対に枯渇しないという保証なんてない。身体も鍛えておいて損はないか。

 それに、この身体なら運動ができるかもしれないし。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 翌朝──


「はぁっ、はあっ」

 キツイ。

 なんで剣を習うのにマラソンをせにゃならんのだ。いや、体力が必要だってのは分かるけど。もっとこう、型とか素振りとかするもんだと思ってた。だって剣だもの。

 なのに、朝から今まで木刀さえ見ていない。

 見ているのは、そう、ヴァルターのケツとミーティアの背中。

 野郎の引き締まった小尻はどうでもいいとして。ミーティアの背中が問題だ。

 背中が見えるということは、ミーティアが俺より前を走っているということで、それは俺よりミーティアの方が体力があるということを表している。現に、彼女は俺ほど息は切れていない。

 

「じゃあ、アップはこれでおしまいだ」

 ヴァルターが立ち止まって言う。


 アップゥ〜? 3歳児に庭3周走らせるのがアップ? それはちょいと酷じゃないかい? ほら、現にミーティアだって──


「はい!」


 ピンピンしてら。

 俺はこんなにも疲れていると言うのに。

 この差ってなんですか?


 疲労困憊で座り込んでいる俺を見てヴァルターが言う。

「……アル、お前は引きこもってないで、もっと外で遊びなさい」

「はい……」

 やはりそこの差らしい。

 そりゃそうだ。俺が部屋に引きこもって怪しい実験に勤しんでいる間、ミーティアは外で元気に遊んでいたのだから。


「次は素振りを……っと思ったんだが、アルがこの様子じゃな……。休憩がてら、ちょっと剣術について話そうか」

「ええぇ〜」

 素振りを楽しみにしていたのかもしれないミーティアから非難の目線。

 まじごめんなさい。


次はもうちょい早く更新できる予定です。多分。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ