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魔法陣を描いた本

遅くなってごめんなさい。

 さて、どう詠唱を変えるか……。


 まず、曖昧な《此処に》はやめる。おそらく、また魔法陣のところに展開されてしまうだろうから。

 いや、もしかしたら魔法陣の場合は思考のトレースがないのかもしれない。

 まぁ、それについては検証できないので保留ということで。


 で、どこに展開するか。


 今回はあくまでも確認だから、魔法陣から遠い方が成功したかわかりやすいか。

 どこがいいかな……。


 部屋の中を見渡して、ちょうどいい場所を探す。


「お」


 机の上に見つけたのは、いつぞやのガラス瓶。これでいいか。


 ガラス瓶を机の端に置き、魔法陣に手をかざして呪文を唱える。


「えーと……、《魔力のかたちは瓶の中》」


 なんだか微妙にメルヘンチックな感じがしないでもない呪文だ。

 が、効果はしっかりとあったようで、小さな火が瓶の中に灯る。


「まぁ、成功か……。ただ──」


 使いにくいな、と。この方式はあまり実用的では無い気がする。

 まず、目印になるものがない場所には展開しづらい。今回は『ビン』という目印があったが、例えばそこら辺の床に展開しようとした時、《そこの床》以外に言いようがない。それではどこに展開されるか分かったものじゃない。

 そして、展開までのプロセスが複雑で面倒臭い。

 まず、展開するところを探す。次に呪文に入れる文言を考え、詠唱する。


 端的に言って、面倒。

 特に毎回呪文を考えるのが一番ダルい。

 まぁあまり欲張らずに、まずは詠唱と同じ使用感を目指すこととしよう。

 

 詠唱を使うときは、こう……手をかざして────ああ。

 手のひらに展開すればいいのか。

 そうしよう。


「《我が手に宿れ魔力のかたち》」

 呪文を唱えながら、魔法陣に魔力を込める。

 そして、魔法陣から手を離す。その間にも魔力回路は展開されてゆく。()()()()を中心として。


「……やっべ」


 このままでは恐らく──


「あっぢぃィッ!」

 

 焼けた。手のひらの中までしっかりと火が通ってしまった。ウェルダンだ。

 なんだか痒くてヒリヒリする。身体の中を焼かれるってのはこんな感覚なのだろうか。


「ああもう……。《秘めたる力以ちて傷を癒せ》【治癒(ヒーリング)】」


 本当にこの術にはお世話になります。主に火傷した時に。

 手のひらの違和感が消える。このレベルの火傷に下級が効くかどうか心配だったが、効いたようなので何よりだ。


 さて、失敗の原因を考えるか。

 恐らく、《我が手に宿れ》がダメだったものと思われる。この場合、《我が手のちょい上に宿れ》とかにすれば一発で解決しそうなものだが、それはヤダ。

 つまりは手のひらから少し座標をずらせばいいわけで。でもそれはめんどくさい訳で。


 ああもう、魔法陣をそのまま展開できればいいのに!!

 そうすれば座標指定もオールオッケー。だって魔法陣のデフォルト設定でやればいいだけだもの。

 でも魔法陣はあくまで魔石の線だから、そんなことはできないのだけれど。


 …………いや、本当にそうか? そもそも、魔法陣というものは魔力が流れることで初めて効力を発揮するわけで。極論言っちゃえば、別に魔石で描かなくても自分で魔力を操作してその形にしても発動するわけで。


 …………行けるやん。

 

 こう手をかざして魔力を込めたらそこに魔法陣がばーって広がって、ばーんと術が撃たれる。


 そんなかっこいい演出を所望する!!

 

 ともかく、詠唱を考えないと。《我が手に宿れ》はまあいいだろう。《魔力のかたち》なら、《魔石のかたち》? いや、何かロマンに欠ける気がする。

 魔法陣にデフォルトの座標設定を書き足して、手をかざす。

 

「《我が手に宿れ叡智のかたち》」


 白くモヤのような魔法陣が展開される。無属性の魔力だ。

 

「うぉわっ!」

 そのモヤに驚き、魔法陣から思わず手を離すと、モヤで形作られた魔法陣もついてくる。

「おお……」

 手をぶんぶん振ってもピッタリとついてくる。絶対的な座標ではなく、相対的な座標も指定できるということが、図らずとも証明されたわけだ。

 だが、いくら経っても魔法陣が発動しない。

 魔力が足りないのかと思って、魔力を追加で込めてみる。


 モヤが収縮し、はっきりとした魔法陣を作り上げる。そして、魔法陣が紅に光り輝き──


 ──ボゥッ


「あ、ついた」


 今回はしっかりと魔法陣の座標設定が働いたようで、手には当たっていない。手のひらにほんの少し熱が当たる程度だ。

 ただ、気になるのは魔法陣が2回目に魔力を込めるまで発動しなかったこと。

 もしかして、発動のトリガー的なものが少し魔力を込めることなのだろうか。

 ま、そう都合よく考えておこう。


 そして、魔法陣が紅に輝いたこと。あの光は魔力の色ではなく、物理的な光だろう。

 つまり、俺でなくとも誰でも見えるというわけだ。

 期待した通りのかっこいい演出。

 この世界の魔術は本当に素晴らしいな!



 とりあえず、魔法陣を書いた本の基本理論はこれで完成だ。あとは魔法陣を紙に書いて、それを纏めるだけ。

 だけとは言っても、とりあえずクリスの教科書に載っている術は全て入れたいので、かなりの量になる。それに、魔法陣を描いていないものの方が多いので、詠唱の時の魔力の流れを見て、魔法陣に描き起こさなければならない。

 まぁざっと一週間はかかるだろう。

 あと、上級レベルとなると庭では使えないので、クリスに言って前に練習に使っていた場所に連れて行ってもらわないと。

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