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朝帰り

大変遅れまして誠に申し訳ございません。

ちょっと予定(プロット)にない突発的な思いつきのせいで遅れました。

その思いつきで書いたやつはこの部分ではないのですが。

結局、あの後緊張して全く寝れなかった。

 お陰で寝不足だ。


「ふわぁぁ……」


「眠いの?」

「うん、ちょっとね……」

 木製のスプーンを口に運びながら答える。

 

 俺は今、クリスの家で朝食をいただいている。

 物流も発達していないこの世界、同じ村に住んでいると同じようなメニューになりがちだ。

 だが、その中にも家による違いが微妙にあるので面白い。


「ごちそうさまでした」

 

 俺に少し遅れてミーティアも食事を終える。

 

 さ、帰るかな。

「えーと、お世話になりました。僕はここらでお暇しようかと」

「ああ、送ってくよ」

 そう言ってクリスが食卓から立ち上がる。

「あ、はい」

 なんでだろう。別に一人でも帰れるのだが。

「私も行く!」

「ああ、そうだね。ついでにそのまま授業にしちゃおうか。……じゃ、行こう」

 クリスはミーティアを連れてスタスタと歩き出してしまった。俺も急いで追いかける。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 クリスたちと帰宅する途中、特に話題もなく俺は思考に没頭していた。

 一週間前のクリスのアドバイスにより、俺の知るすべての魔法陣は完全に解析が終わっていた。これからは、応用だ。

 まず、前々から温めていたアイディアを実行したい。

 それは、魔法陣の実用化だ。

 いやまぁ魔法陣は普通に使えてはいるが、やはり使う場面や場所が限られてしまう。

 詠唱のように、どこでも、どんな時でも使えるようにしたい。

 そうすれば、かなりの利点が生まれるのだ。

 例えば、発動にかかる時間。詠唱は呪文を唱える必要があるが、魔法陣はあらかじめ描いてさえおけば、魔力を込めるだけ。

 発動時間は圧倒的に短くなる。


 一応、想定しているのは魔法陣を書いた紙を、本のようにしてまとめる形だ。


 しかし問題点が一つ。


 魔法陣は、デフォルト設定の場合その面に対して垂直方向にしか魔力回路を展開できない。つまり、このまま使うとなると、いちいち対象に向けて本ごと向ける必要があるのだ。

 面倒だし、何よりダサい。


 そこで、魔法陣の座標指定を活用して、魔力回路を魔法陣から離れたところに展開しようと思ったのだが。


 しかしこれにも問題が。


 魔法陣の座標指定、とっっっても面倒なのだ。

 詳しく説明すると面倒なので省くが、展開する場所の方向と距離を指定しないといけない。そんなのをしている暇があったら、詠唱をしたほうがよっぽど早いだろう。

 魔法陣の利点が崩れてしまう。というわけで却下。


 行き詰まってしまった。


 さて、どうするか。

 魔法陣で座標指定すると長い、でも詠唱も長い。じゃあ、魔法陣で座標指定しなければいい。と言っても、座標指定しないと使い物にならない。


 分からない。


 いや、とりあえず基本に立ち帰ろう。

 そもそも、詠唱はどうやって術を起こすものだったか?

 呪文によって魔力を制御し、規定の形の魔力回路を造って術を発動させる。

 では、魔法陣は?

 魔法陣の形の魔力の流れと対応した魔力回路を造り、術を発動させる。


 魔力の操作方法に差異はあれど、『魔力回路を造る』という点では共通している。

 魔力へのアプローチは異なるが、やることは結局同じなのだ。


 そう、同じ…………あ!


 詠唱で、魔法陣の座標指定を肩代わりできるのでは?


 それなら、詠唱も一節程度で済む。ふつうは4節の詠唱なので、大幅な時間短縮だ。

 

 早速、やってみよう。


「……い、おーい!」

「はっ!」

「もう着いたけど。入らないの?」

 気がつくと、そこはもう家の目の前で、クリスは扉に手を掛けてこちらを向いていた。

「いや、入りますよ。早く入りましょう!」

 早くあのアイデアを試したい。クリスの横をすり抜けて、自分の部屋へと向かう。

「あらアル、おかえりなさい」

「うーん!」

 途中でレイチェルとすれ違うが、なおざりな返事をしてそのまま通り過ぎる。


 部屋に着くと、ベッドの下を探る。

「あったあった」

 そこにあるものを掴み、手を引き抜く。

 紙と魔石だ。

 立ち上がり、机へと向かう。

「何にするかな……。ま、【灯火】でいいか」

 

 実験で何度もお世話になったり焼かれたりしている、描き慣れた魔法陣を描く。

 一番外側の、座標指定の部分は描かない。詠唱でやるからだ。


「できた……。あとは、詠唱をどうするかだな……」


 今回の詠唱は、ただ座標指定をするだけだ。

 問題は、指定する座標をどこにするのか、だ。

 まぁ、とりあえずはデフォルトの《此処に》でいいか。

 

 魔法陣に手をつき、魔力を流し込むと同時に、《此処に》と唱える。

 

 ──ボッ!

 

 火がついた。魔法陣に。慌てて叩いて火を消す。


 失敗。

 なんでだろう。


 まず、原因としてはいくつか考えられる。

 ①そもそも詠唱で魔法陣の座標指定ができない。

 ②呪文の中身が悪かった。

 

 このくらいだろうか。

 まず、①について、一つの呪文を試しただけで決めつけるのは早計だろう。もう少し検証が必要だ。

 ②について。

 これはいくつかに原因は分かれるだろう。

 今までの経験から、《此処に》などの代名詞を使用した場合、その対象は術者の意識に依存するらしいというのは分かっている。

 つまり、《此処に》と言ったら術者が「此処だ!」と思っているところが対象になるというわけだ。この思考のトレースが案外曲者で、術者のちょっとした連想だったり、想像(妄想)だったりを反映してしまうことがある。

 ということで、今回の《此処》が『手をついているところ』──つまり魔法陣になってしまったのではないかということだ。ちょうど魔力を流し込むのもあって、意識がそこに集中していた、というのもあるだろう。


 他には、今回の座標指定《此処に》が何の座標を指定するのかを示していなかったから、ということも考えられる。この場合の解決策はそれほど難しくないだろう。詠唱に指定するものを入れればいいだけなので。

 

 まぁ、一番お手軽なこの改善案から試していこう。

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