魔法陣
少し短めです。
俺の部屋に戻ってきた。
クリストフは机に紙を広げ、魔石を擦り付けて魔法陣を描いている。
ミーティアはそれを興味深そうに見ている。
「えぇっと……、次はこうか……?」
魔法陣を描くのは慣れていないのか、ぎこちない手つきだ。
それでもわざわざ解説してくる。
「いいかい、魔法陣というのはね、正確さが大切なんだよ。1センチでも狂うと使い物にならなくなっちゃう。まぁ、このせいであまり利用されないんだけどね」
お前、正確さが大事なのに喋ってて大丈夫なのか。
「……よし、出来た……」
ふぅ、と息を吐き、汗なんて欠片もかいていないのに額を拭う。
この人は何かと格好つけたがるのだ。
そんなことせずとも十分イケメンなのに。
あれか、研鑽を怠らないって奴か。
「じゃあアルベール君にやって貰おうかな。ほら、ここに手を置いて」
言われた通り、魔法陣のど真ん中に右手を置く。
「で、魔力を込めて」
術を使うときの要領で魔力をぐっと込める。
魔法陣を注視して、魔力の流れを見る。
やはり、魔石で描かれた線を魔力が通っているようだ。そこが白く光っているのが見える。
しかし、火属性のはずなのに赤ではないのは何故だろうか。これでは火属性の術は起こせない。
すると、唐突に魔法陣の上の虚空に魔力の線が描かれていく。
外側から段々と内側へと伸びてゆき、その白い光の線があるところを境に赤へと変化する。
魔力の属性が変化したようだ。
そして、立体的で複雑な形を描いた。
この形は……!
詠唱で【灯火】を使ったときの魔力の流れに酷似している。
いや、全く同じだと言ってもいい。
俺がそのことに驚いているうちに、魔力が収縮し小さな灯火が浮いていた。
どういうことだ……?
詠唱と同じ効果を魔法陣も持っているってことか?
そりゃまぁ同じ術を発動させられるのだから同じ効果だろう。
でも、そういうことではなくて。
『同じように魔力を操作できる』ということだ。
今まで俺は、詠唱はダイレクトに術を発現させるものだと思っていた。
『風よ』と言ったら風が吹くというように。
しかし、それは多分違う。
詠唱によって『魔力を操作』し、『規定の魔力の形を作り』術を発現させるのだ。
つまり、『風よ』という言葉によって魔力を操作し、操作した魔力を『風を吹かせる』魔力の形にする事で術が発現する訳だ。
『風よ』という言葉と『風が吹く』という現象が紐付けされているのではなく、『風よ』という言葉と『ある規定の魔力の形』が紐付けされているのだ。
たまたまその『ある規定の魔力の形』が『風を吹かせる』という現象をもたらすだけで。
何故こうなっているのかは分からない。
魔法陣も同じだ。
『【灯火】を発現させる』のではなく、『ある規定の魔力の形』を表すのだ。
おそらく、『ある形』と『ある魔力の形』が対応しているのだろう。
いや、結局魔力が通らないといけないのだから、『ある魔力の形』が『異なる魔力の形』を表すのか……?
そうだとすると、わざわざ魔法陣を描かなくても、『魔力を魔法陣の形にする』詠唱で魔法陣を使えることになる。
ついでに魔法陣の形にする魔法陣も作れて、そのまた魔法陣の形にする魔法陣の形にする魔法陣もできて……?
こんがらがってきた。
「おーいアルベール君! そろそろ火ぃ消して」
「んあっ? あっはい」
ずっと魔力を流したままだったらしい。
思考を中断して、魔力の供給を止める。
とにかく、新たな疑問が生まれたようだ。
よくわかんない説明でごめんなさい。
僕も書いてる時からよく分からなくなってました。
しかし、この設定はかなり重要なのです。そのため、長々と書かせていただきました。




