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魔石

「はい、次はここ読んで」

「えと、『おじいさんは山へ魔物狩りへ、おばあさんは──』」


 今日から本格的な勉強が始まった。

 と言っても、大変なのはミーティアだけだろう。

 俺は読み書きも計算もできる。聞かなければならないのは歴史とか、そのくらいだ。


 暇なので、適当に術の教科書を流し読みしている。


「魔法陣、か……」

 今見ているのは【灯火(ライト)】の魔法陣。

 複雑怪奇な幾何学的模様で、いかにもという感じの魔法陣だ。


 これで術を発動できるのだから、これも例の要素を満たしているはずなのだが……。


 それをどうやって図形で表すのかがわからない。

 見たところ、文字のようなものはない。完全に図形オンリーだ。


「やってみるか」


 やはりそれが一番手っ取り早い。


 何事も やってみないと 分からない

           今日の俳句


 なんちって。


 

 えーと、どうやってやるんだろう。

 教科書には図しか書いていなくて、使い方は書いていない。



「じゃあ一旦休憩にしようか」

「やたっ!」


 向こうは一段落ついたようだ。


 ちょうど良いから聞いてみよう。

「あの、魔法陣ってどうやって使うんですか?」

 

「魔法陣かい? ……そうだね、基本は『特定の図形の形に魔力の通り道を作る』こと。だから、魔石の粉とかの魔力の通りやすいもので魔法陣を書いて、それに魔力を通すだけ」


 知らない情報が一つ。

「魔石って何ですか?」


「魔物の体内にある、魔力を帯びた石のことだよ。……そうだ、多分この家にあるはずだから見に行ってみよう」


 そう言ってクリスは立ち上がり、スタスタと歩き出した。

 俺もそれについていく。


「あ、わたしもいくぅー!」

 ミーティアもとてとてとついてくる。

「探検だー!」

 なんだか楽しそうだ。

 ここは俺の家なので、俺にとっては探検でもなんでもないのだが。

 まぁ、子供の頃は知らないところを見て回るのが無性に楽しかった気がする。

 きっとそういうものなのだろう。

 

「どこだろうな……。聞くか」

 クリスはボソボソと独り言を呟いている。

 すると、庭に面した窓を開け。

「おおい、ヴァルト! 魔石ってどこにある?」

「魔石ぃ? えっと……、倉庫の中!」

 どうやら、ヴァルターは庭で剣の修練をしていたらしい。

 熱心なことだ。

「ありがとー。 じゃあ行こうか。倉庫は確か、一階にあったはず……」

 なんか俺よりクリスの方がウチの間取りに詳しい件。

 ……俺、案外自分家のこと知らないかもしれない。


 気がつくと、隣にミーティアがいない。

 どこいったんだろう。

 後ろを振り向くと、さっきの窓のところで熱心に外を見ていた。

「ミーティア、置いてっちゃうよー?」

 声をかけると、窓から離れてこちらに向かってきて、俺の隣に並ぶ。

 


「それにしても、なんでうちに魔石があるんですか?」

「それはね……。昔言っただろう? ヴァルトは村の駐在衛士だって」


 そういえばそんなことも聞いた気がする。


「だから、村の周りの魔物の討伐も仕事の一つなんだ。そのせいさ」


 なるほど。

 討伐した魔物の体内から魔石を取っているわけだ。


「魔物!? みてみたい!」

「ダメだよ。危ないんだから」

「そうだねー。この辺りは雑魚しかいないけど、それでも危ないからね。……っと、着いたよ、ここが倉庫だ」


 クリストフがドアを開ける。

「真っ暗!」

「暗いな……ランプはっと」

 倉庫の中は、窓が小さいため明かりが入らず、真っ暗だった。

 クリスは入り口のすぐ横に置いてあったランプを手に取り、火術で火をつける。

「《大いなる黎明の温もりよ》【発火(イグニション)】」

 

 倉庫の中がオレンジ色の光に照らされる。


 たくさんの棚や木箱が雑多に置かれている。


 こんなんになってたのか……。初めて入った。

 というか倉庫の存在自体知らなかった。

 

「いろんなのがある!」

 ミーティアは真っ暗な部屋にテンションが爆上がりしたようで、小走りに倉庫の奥へと入っていった。


 なんだか心配なので、俺もついていくことにする。


「あんまりはしゃぎすぎるなよー」

 クリスが注意してくるが、おそらく聞いていないだろう。

 どんどん奥へと進んでいく。

 幼児で背が低いからなのか、周りの棚がやけに大きく見える。


「あ! 綺麗なのみっけ!」


 ミーティアが何かを見つけたようだ。

 なんだろう。

「危ないのもあるから無闇に触らないでねー!」

「うーん!」

 ミーティアが返事をする。

 返事だけだ。

 行動は伴っていない。

 

 『綺麗なの』とやらが入っているであろう木箱を覗き込んで、今にもその中身に触れそうだ。


 『綺麗なの』ってなんだろう。

 気になるので、俺も覗き込んでみる。


「おぉ……!」


 木箱の中には、紫色の綺麗な石がたくさん入っていた。

 宝石みたいだ。


「ああ、あったあった」

 クリスが俺たちの上から木箱を覗いて言う。

「それが魔石だよ」

 この紫の石が魔石らしい。


 クリスがひょいと木箱に手を伸ばし、魔石を一つ手に取る。

 

「ほら、これを見て。魔石っていうのはね、大きければ高いし、透き通っている方が高い。あと、青とか赤とかの色が鮮やかな方が高い。

 まあ、全部その方が効果が高いからなんだけどね。

 この魔石はほら、小さいし、濁っているだろう? だから安いんだ。

 まあ、下級の魔法陣を描く分には問題ないから、一つ失敬していこうか」


 クリスは魔石をポケットに入れ、内緒だよ?と言った。

前回までが詠唱編だとしたら、今回からは魔法陣編です。

やっとタイトルにあるアレも出ると思います。

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