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宿題

書けてるとこまでなので、いつもの半分くらいです。

「あの、さっきから火とか水とかしかやってないんですけど、残りのーー治癒とか結界とかはやらないんですか?」


「ああいや、そのうちやるよ。けど、その三つは色々と独特だからね。まずは基礎の四属性からやろうと思ったんだ。それとも、先にそっちからやるかい?」

「いや、大丈夫です。どうぞ、授業の続きをお願いします」

「うん。じゃ、次は風かな。ちょっとした風を吹かせるだけの下級風術【微風(ブリーズ)】をやろうか」

「はい」


「じゃ、よく見ててね。《大いなる風よ 我が喚び声に応えよ 今此処に 涼やかなる風を与えよ》【微風(ブリーズ)】」


 クリスの身体から淡い緑の煙が噴出し、複雑な形を描きながら一箇所に集まり、そして一点に凝縮する。

 そして、それが一気に解放される。


ーーヒュウゥ〜〜


 発生した風が、俺の頬をくすぐり、髪を巻き上げる。

扇風機以下の風量だ。


 

 ショボい。


 ショボすぎる。


 ただの風じゃねえか! 

 

「とまあ、こんな感じだ」

 クリスがドヤ顔をして言った。

「しょぼいですね」

 思わず本音が出てしまう。

「しょぼっ!? ……下級なんだからしょうがないじゃないか。でも、生身でこのくらいの風を吹かせられるんだから、すごいじゃないか」 


 まあ、そう言われてみれば確かに。

 道具とか使わずに生身でって言われたら手で仰ぐくらいしか方法がないと考えてみると、確かにすごい。


 そう考えると、魔力って一体なんなのだろう。

 適当な言葉ーー呪文を唱えただけで、うちわを使わず風を起こし、燃料もないのに火を灯し、ましてや虚空から土や水を創り出す。


 今まではそういうものだと納得していたが、よく考えるとおかしい。


「魔力って、なんだ……?」


「魔力とは何か、か……。深い質問だね。考えた事も無かった」


 まあそうだよな。生まれた時から当たり前のように存在するのだから。

 前世で言うと、なぜ物は落ちるのか、という疑問を持つようなものだ。


 それをこの世界の人間が思ったのなら、そいつはニュートンレベルの天才だろう。


 まあ、俺は元々魔術なんて存在しない世界の住人だったし。

 思いつくのは案外簡単だった。


 ニュートン万歳。


「魔力の正体か……」


 ーーグルルルルル〜〜


 俺の腹が鳴った。


「おっと、もう昼時か。じゃあ、今日の授業はこのくらいで。宿題は……、そうだな、魔力の正体について何か仮説を立ててくること。思いつきでも、なんでもいいよ。

 早くしないと、昼とかわいい家族が待ってるから。じゃあね」


「ちょ、宿題って……」

 いくらなんでも無茶振りが過ぎる宿題に文句を言おうとしたが、そんな間も無くクリスは遠ざかっていってしまった。


 俺にニュートンになれと……?


 いや、無理。

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