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実技

少し短めです。

 5分ほどたった。

 クリスはまだ色々くっちゃべっている。


 いや、マジで話が長い。

 一応時々相槌は打っているのだが、それがかえっていけないのかもしれない。


 どうしたものか。


「ーー彼らの出自はよく分かってないんだけど、僕はーー、やぁ、どうしたんだい? ヴァルト」


 クリスの長口上が止まった。

 

 後ろを振り向く。


「いや、ちゃんとやってるかと思って見にきたんだが……。来て正解だったな、全く……」

 

 ヴァルターが顔を手で覆っている。

 

 やけに板についてるな。その仕草……。


「何にすんだかは知らんが、報酬分の仕事はやってくれよ?」

「勿論さ」


 嘘付け。

 雑談とヲタトークしかしてないくせに。


「本当か? まぁいい。……頑張れよ」

 ヴァルターは、俺の頭をポンポンと叩くと、またどこかへ行ってしまった。


 そういえば、あいつはいつも何をしているのだろう。


「見回りさ」

 そんな俺の疑問を見透かしたようにクリスが言う。


「見回り、ですか」

「そう。あいつは村の駐在衛士だからね」


 ちゅーざいえじ。


 要するに警察ってことか。

 ちゃんと立派な職業についていたらしい。

 息子は安心しました。


「よし、じゃあ授業再開しようか」

 再開も何も、元々やってないだろ。

 

 今度はまともにやってくれることを願おう。


「えーと、さっき座学をやったから、今度は実技といこうか」

 さっきのヲタトークが座学だったらしい。

 術というより、太古の七祖についての雑学だけが身についた感じだ。



「今は、何級まで使えるのかな?」


 何級まで。

 

 クリスによると、どうも上級相当の威力は出せているらしいが、【円環の蛇(ウロボロス)】は実際のとこ下級の【灯火(ライト)】の改変だからな……。


「下級までですかね」

「へぇ、意外だね。中級くらいはいってるかと思ったけど」

 いや、こちとら一歳児(中身29歳)だぞ。そんな中級なんて使えるか! ……使おうと思えば出来たと思うけど。


 いや、そういうやれば出来る精神は止めよう。

 やってないからできないのだ。今は。

 

「属性は?」

 コイツ今属性って言ったぞ。

「属性? 流派じゃないんですか?」

「流派? ああ、ありゃ建前だよ、建前。それぞれのお偉いさん連中がいがみ合ってるから別々ってなってるだけで。実際んとこ全部同じようなもんだからね」


 どうやら、俺の推測は合っていたようだ。


「うんと、火と土だけですかね」

「水と風は?」

「やったことないので分からないです」

 風は変化が分かりにくいので飛ばしていたし、水は部屋が濡れてしまうのでやっていなかった。

「そう。じゃ、そこの下級からやろうか」


 今回はまともにいけそうだ。


「まずは水から。詠唱をよく聞いて覚えて。《大いなる水よ 我が喚び声に応えよ 今此処に 清らかなるせせらぎをもたらせ》【流水(ウォーター)】」


 クリスの身体から青い煙が放出される。

 やはり水は青だったらしい。


 そして、それが手の前で渦を巻き複雑な形を作る。

 そして、水が出現した。

 というか、指先からチョロチョロ流れている。

 何というか、その……。


 ションベン小僧みたいだ。


 もっとこう、水の塊がどーん!と出現する感じだと思っていたのだが。


 クリスが手を振って水を止めた。


 その動作って必要なのか?


「まぁ、こんな感じかな。じゃ、やってみて」


「えっと、《大いなる水よ 我が喚び声に応えよ 今此処に 清らかなるせせらぎをもたらせ》【流水(ウォーター)】」


 青い煙が放出されて、クリスのものと寸分違わない形を作る。


 そして、水が流れた。


「うん。しっかりできてるようだね。この分なら、風もきっと出来ると思うよ」

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