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円環の蛇

魔力切れだ。


 床に倒れた俺の前で、大量の魔力が渦を巻く。

 次第に円環を形作り、それが真円に達したとき。


 視界が白に染まった。思わず目を瞑る。


 しばらくして目を開く。


 空中に、燃え盛る蛇が、尾を噛んでいる蛇が、浮いていた。


円環の、蛇(ウロボ、ロス)……? 何で……?」


 ウロボロスで詠唱はしなかったはずなのに。


 まさか。


 まさか、円環のイメージにウロボロスが重なってしまったのか?

 

 いや、詠唱が《円形の導きの光》ではなく、《モノを導く光の円環》という意味になってしまったのか。


 きっと導かれた先は灰燼だろう。


 一歳児のミスで、全てを灰燼へ導く円環が此処にめでたく誕生したわけだ。


 とんだ天災児だな。

 まったく。


 はやく、速く消さないと。

 

 死ぬ。


 魔力の供給を絶って……。


 ダメだ。アレはもう俺からの魔力供給では燃えていない。


 一枚の紙が熱風に舞い、円環に吸い込まれ、炎に触れるまでもなく灰になった。


 周りのものを吸い込んで燃えている。

 

 そして、段々と、少しずつ大きくなっている。

 まだ周囲に燃え移ってはいないが、そうなるのも近いだろう。


 水術で……。

 無理だ。魔力は全てあの蛇に吸われてしまった。


 身体は動かない。

 

 絶体絶命だ。


 段々と、顔に当たる熱が増える。

 円の周りで陽炎が揺らめくのが見える。



ーーバタン!


 部屋の扉が音を立てて開く。


「どうした? なんか光ったが……」

 目だけを向けて見る。

 ヴァルターだ。

 助かった……。

「何だ、コレ……」

 ウロボロスを見て、目を見開いている。

「魔物、いや、火術か……? アルッ、こっちこい!」

 そう言われても……。動けないし。

「気絶してるのか? ……クソッ!」

 ヴァルターがこっちに走ってくる。


 はよ助けて。

 

 そう大きくない部屋なので、すぐに、というか一歩踏み出したくらいで手が届き、俺はヴァルターに引きずられた。


 そこは抱き上げろよ。


 まあともかく、俺は助かったようだ。


 家はどうだか。

 まだ火が燃えてるが。

 これからどうするんだろう。

 まさかのお家全焼?


「おい! クリストフ呼んできてくれ!」

 ヴァルターが階下に呼びかける。

「分かったわ!」

 レイチェルの声が聞こえ、バタバタと音がした。

「アル、下がってろ」

 いつになく真剣な声音で言われ、少したじろぐ。

「う、うん……」

 まだ身体に力が入らないので、這っていく。


 真剣に構える男と、芋虫のように這っていく一歳児……。


 シュールだ。


 それから少し経って。


「呼んできたわよ!」

 バタバタと階段を駆け上がる音がして、レイチェルとクリストフが現れた。


「全く、何なんだい? ……って、何だこれ? 見たところ火術のようだけど……」


 こいつ呼んでどうすんだ?


「分からん」

 クリストフの問いに、ヴァルターが簡潔に答える。


「ふぅん。見たことない術だな……。

で? 何で僕呼ばれたの?」


 この状況で分かんないとか鈍すぎね?


「はぁ……。お前は相変わらず察しが悪いな……」

昔からこうらしい。


「呼び出しといて、それはひどくないかい!?」


「この火を消してほしいんだよ! 家が燃えちまうだろ!?」

 逆ギレした。

 

「ああ……、そういう事。いいよ。家、壊れるかもだけど、良い?」

「全部燃えるよりマシだ」

「おけ」


 軽く言ってるが、もし、もしもだ。


 ウロボロスの特性があの円環に忠実に反映されているとしたら。


 アレは『不老不死』。


 故に、アレは、決して消えない。


 全てを破壊し、そして灰燼を創造する。


 消せるはずが、ないのだ。

詠唱が思いつくまでお休みです(予定)。


2日くらいで行けるかと。

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