失敗
一日ぶりです。
距離が遠くなると、消費魔力量が増えるようだ。
いつもより少し多く使った気がする。
次は、時間を弄る。
大体座標と同じ感じでやればいいだろう。
一応確認を……。
「《大いなる土よ 我が喚び声に応えよ その時此処に 豊穣の土をもたらせ》【土】」
虚空から土がパラパラと落ちてくる。
発動した。発動しちゃった。
何故?
……《その時》ってのが、我が喚び声に応えた時、になっちゃってるから?
まじでめんどくさい。
文の意味も考えなきゃだめとか……。
誰だよ作った奴。
何で異世界来てまで文法やんなきゃいけないわけ!?
ひっくり返ってバタバタする。
ふと、一つの可能性に思い至る。
……あれ? 思ってみれば、時間設定を詠唱でやらなくても良くね?
だって、あらかじめ唱えといて、発動させたい時に術名を言やあいいんだから。
確かにそうだ。
よし! 後回しだ!
そして、大トリにして最後の大物、形状・効果指定。
これについて分かっているのは、属性と術名との整合性が必要だということだ。
とりあえず、元々ある術の効果を少し変えてみる。
まず、赤い炎を青いのに変えてみる。
確か、炎が赤いのは不完全燃焼が起こっているからで、酸素を十分に供給すれば青くなる、というのは常識だろう。
なんでも、酸素を吹き掛けながら燃やせばダイヤモンドでさえ燃えるらしい。
これができれば強い。
どうするかな……。
元々が、《導きの光を与えよ》だから、《導きの蒼き光を与えよ》とかにしてみるか。
「《大いなる火よ 我が呼び声に応えよ 今此処に 導きの蒼き光を与えよ》【灯火】」
いつもより、放出される魔力の量が多い気がする。
また、いつもの形とは違った。
ボォォオッーー
中学校の頃に、理科で使ったガスバーナーのような音を立てて、蒼い炎が吹き出る。
もはや灯火の範疇ではない。
「うあちっ!」
かなり熱かったので急いで火を消す。
まさかただの下級火術がこんな火力になるなんて……。
酸素、恐るべし。
下級でこの威力なんだから、もっと上の、例えば上級なんかでやったら大変なことになりそうだ。
人位級以上だと、元々が凄すぎてあまり変わらない気がする。
それにしても、《蒼き》という単語一つ入れただけでこんなになるのだから、適当にやると酷いことになりそうだ。
慎重に行こう。慎重に。
《全てを燃やす》なんて入れた日には、世界が滅亡しそうだ。
呪文は素直すぎるんだな。恐ろしいほどに。
さっきは効果だったから、次は形をいじってみるか。
どうするか。
ああそうだ。
サーカスで猛獣が潜ってるような円形にしてみよう。
丸……円……円環……円環と言えばっ。
円環の蛇だ!
……いや、それはまずい。
大変なことになる。
円環で落ち着いとこう。
「《大いなる火よ 我が喚び声に応えよ 今此処に 導きの光の円環を与えよ》【灯火】」
膨大な魔力が身体から抜けていく。
それと反対に、虚脱感が身体を満たす。
「な……ん、で……?」




