猫カフェに行こう!
猫カフェ『超必殺技 猫の手』というお店で僕は働いている。
働いている、と言ってもゴロゴロしているだけなのだが。
「いらっしゃいませー」
店長の声と共に、今日一番のお客様が店の中へと入ってくる。
むむ、あのお客さん……なんか猫ちゃん抱っこしてる。
「あのぅ……今日一日だけ預かってほしいのですが……」
「えっ……いや、そういうサービスしてないんですけど……」
「お願いします! 一日だけ……凄い困ってるんです! 私、猫飼った事無いのに突然こんな事になって……マジで困惑気味なんです助けて下さい!」
なんだ、何があったんだ?
そのお客さんは店長に拝むように手を合わせながら、一匹の黒猫をむりやり押し付けてくる。その勢いに店長は根負けして、渋々承諾してしまう。
「分かりました……えっと、お名前は……」
「らいかです……」
「はい、連絡先と身分証明書と……」
新しい猫さんが来たわけでは無く、今日一日だけ……か。
なんか猫の託児所みたいなノリになってる。大丈夫だろうか。
「猫ちゃんの名前は?」
「えっと、はるかかな……ぁ、いえ、えっと……はるちゃん……」
「はるちゃんね。分かりました、何かあれば連絡しますから」
そのまま、そのライカとか名乗る怪しいヒトは出て行ってしまう。そして……
「幸村ー、今日一日だけのお友達だけど、仲良くしてあげてねー」
僕の目の前へと抱っこされてくる一匹の……黒い子猫。むむ、目の色はブルー……ロシアンブルー的な……
「あのやろう……なんで猫カフェに預けるって発想が出てくるのよ……」
むむ、喋った! 猫が喋った!
「君も猫でしょ。猫同士が喋って何が悪いのかしら!」
「そうでした。僕の名前は幸村。マンチカンとアメリカンショートヘアーの両親を持つ子猫なり! 君の名前は?」
「読者に分かりやすい自己紹介で何よりよ。私は……はるかかな……ぁ、いや、ハルよ!」
ハルちゃん……。なんかさっきから名前言い直すの何でだろう。まあいいか……。
細かい事を気にしては仕方ない。
今日一日だけとは言え、ハルちゃんは僕らの仲間になるのだから!
「ようこそ、はるちゃん。僕の名前は幸村」
「もう聞いたわ。二回目よ」
ありゃ、そうだっけ。まあいいや、細かい事をきにしては仕方ない。
「はるちゃんは……なんでここに預けられたの? なんかイタズラしたの?」
「そういうわけじゃ……ちょっとツイッターで……」
ツイッター……?
「そんな事はどうでもいいのよ。幸村君だったからしら。この施設の事、教えてくれるかしら」
「ふむぅ、よかろう。とりあえず、長老に挨拶にいこう」
長老? と首を傾げるハルちゃん。
僕はコッチコッチ、と招き猫のように手招きしつつ、コタツの中へ。
むむ、今日のコタツの毛布……お日様の香りがする! 店長干しておいてくれたんだ!
ふぁぁぁぁ、きもちい……眠ってしまいそう……
「ちょっと、幸村君?」
「はっ、貴方が落した斧は、目覚まし時計ですか?」
「凄いわね、もう寝ぼけてる?」
寝ぼけてない、寝ぼけてないぞっ!
というか長老は……。
グルっとコタツの中を見回す僕。
すると毛布の隙間に尻尾がユラユラと揺れていた!
僕は思わず、その尻尾にダッシュ! そのままタシタシっ! と尻尾を攻撃!
「むむ、何をする、幸村」
「ぁ、長老! もふもふ尻尾で遊びたいなり。ちょっと向こう向いてて」
「仕方のない……」
ふふふのふ! 長老はヒマラヤン。全体的にモッフモフだけど、尻尾もまた……
「ちょっと、幸村君? 私を長老に紹介してくれるんじゃないの?」
タシタシと長老の尻尾で遊ぶ僕へと、はるちゃんが話しかけてきた。
むむ、そうでした。
「長老ー、こっちむいてー」
「なんじゃ、アッチ向けコッチ向けと……ん? 新入りか?」
「うむぅ、今日から僕の弟になった……はるちゃんです!」
「違うわよ」
あれ、違った?
「私は女の子よ。初めまして、長老様。私はハルと申します。今日一日だけここに預けられました」
「はて……いつのまにこの店は託児所に……? まあ、ゆっくりしていくといい。儂はジジ。この猫カフェで一番の古株じゃ」
うむぅ、長老は何でも知ってるんだぞ。
「長老ー、クイズ大会しよ!」
「ふむ。あわよくば、あの方の企画に投稿出来ないかと知略要素盛り込もうとしておるのか? 良いぞ、では儂からクイズを出そう」
「やったー!」
とりあえず長老の尻尾に抱き着く僕。
うむぅ、もっふもふ……あったかくて……このまま眠ってしまいそう……。
「では問題じゃ。ユカタン半島に多く残されている古代文明。その文明の名称は?」
もっふ、もふもふもふもふもふ
「幸村、聞いとるのか?」
「マヤ文明ね、長老」
「おぉ、正解じゃ」
長老ー、クイズまだー?
「幸村君っていつもこうなの?」
「子猫はだいたいこんなもんじゃ。この店では幸村が一番末っ子じゃからの、他の猫は一応まともに会話できるぞ」
むむ、僕だってまともに会話できるもん!
ところでクイズまだ?
「じゃあ他の猫達にも挨拶してくるわ。幸村君、ほら行くわよ」
「えっ、待って、待って」
※
コタツの中で長老の尻尾で遊んだ後、僕とはるちゃんはキャットタワーへ!
その頂上には、はるちゃんと同じ黒猫のポルコがブルブル震えながらお座りしている。
「あの子は? なんて名前?」
「ポルコ。いつも自分から高い所に昇るくせに、自分では降りられなくなってるの。大抵は店長が降ろしてあげるけど……今、店長なんかしてるから……」
「高いところが苦手なのね」
すると、はるちゃんはピョンピョン、とキャットタワーを華麗にのぼっていく! ふぉぉぉ、はるちゃん早い!
「はるちゃん! 凄い! 僕まだ一段目から二段目にじゃんぷできないのに!」
「精進せよ」
はい!
そして、はるちゃんは頂上まで、あっというまに昇ってしまう!
おお、すごいぞはるちゃん!
「こんにちは、ポルコ君?」
「はうぁ! だ、誰?! なんか知らん猫がいる!」
「今日一日だけ預けられたの。ところで……高い所苦手って聞いたんだけど」
「だ、誰が?! 拙者は高い所で修行するくらいに得意なり! ここで恐怖心を抑える修行を……」
「苦手なのね。下を見るから怖いのよ。もっと遠くを見ないと」
「と、遠く……?」
むむ、ポルコ……なんか震えが止まった?
はるちゃんの言う通り、遠い目を……
「おぉ……飛ばねえ猫はただの猫だ……」
「やっぱりポルコって、そこから取ったのね……。降りる時も下を見すぎないようにね」
「お、おう……」
むむ、はるちゃん降りてきた。
おかえり!
「ただいま。少しお腹が空いたわ」
「ぁ、それなら……店長からオヤツもらおう!」
僕は店長のもとへと、ターッ! と駆け抜ける!
そして店長のズボンの裾を、タシタシと……
「ん? どうした幸村ー」
ふぉぉぉぉ、店長がわしゃわしゃしてくる!
あぁっ、そこ……
「ちょっと幸村君? オヤツ貰うんじゃなかったの?」
はっ! そうだった!
「店長! おやつ、おやつください!」
ミィー、ミィー、と鳴きまくる僕。
すると店長は察してくれたのか……
「ほーら幸村。チュール。ご飯前だから少しだけだぞー」
ふぉぉぉ、ちゅーるだ!
いただきます!
スプーンの上に盛られたちゅーるを、舐めまくる僕。
すると店長ははるちゃんにも。
「……これがちゅーる……まさか自分が食べる日が来るなんて……」
はるちゃんもちゅーるを舐め始めた。
むふふ、美味しそう。
すると店長は時計を見つつ、もうすぐご飯だからとキッチンへ。
むむ、もうすぐご飯! 店長の手作りご飯は本当に美味しいんだから! はるちゃんも楽しみに……
って、あれ? はるちゃん?
※
「おまえええええ!!! 猫カフェに預けるとか何考えとんじゃー!」
「だ、だって! 本当にどうすればいいのか分からなかったんだもの!」
fin……?
Special thanks!!
遥彼方様! ありがとうございました!(*'ω'*)ノ
ノリで描きました。苦情は受け付けます。




