第二十七話 月刊英雄
アクアが読む本が無くなっていたのを思い出して、本屋さんにやって来た。
大通りにあるこの王都一番の本屋で品揃えも良く、最新の本も即時入荷しているのも人気な理由の一つだ。
俺も本屋に来るのは好きで、リリスと英雄学園の図書館で一緒に本を探すのとは別の魅力がある。
「本が好きなんですね、ラストさん」
「まあ、そうだな。結構読む方だと思うぞ」
そんな話をしながら、二人で本屋を歩いて見て回った。
「おっ、月刊英雄が発売してる」
新しく発売した平積みにされた愛読書を発見して手に取った。
月刊英雄。英雄や英雄候補の活躍についてまとめられている月刊誌だ。創刊から三十年が経っているが、今でも国民に愛されている。
かく言う俺も四年前から毎月、母さんに買って貰っていた。
「今月の表紙はお父様ですか……。無駄にカッコつけてますね、この人……」
「え、そうなの?」
「はい。表紙になる件が決まってから毎日部屋の鏡で練習してましたよ、全く恥ずかしい……!」
今月の英雄学園の表紙はアクアの実の父であり、王国の国王でもある、英雄ランキング十一位【聖剣王】アーサーだった。
表紙にはアーサーが自慢の聖剣を掲げてキメ顔で写っていた。
とまあ、それはさて置きペラペラとページを捲ると
面白そうな記事が出て来た。
「わあ、皆さん凄く活躍されてますね」
「そうだな。特にトップ4」
「四天王の皆さんですね」
四天王。英雄ランキング上位四名の事だ。
一位【無敵】クロノス・タキオス。
二位【魔導王】ガンドルフ・ランドルフィン。
三位【剣神】宮本武蔵。
四位【紅蓮の魔法使い】フラン・ドール。
四天王の活躍、という題材で記事が二十ページに渡って書かれていた。
「ですが最近はあまり活動はされていないと聞きましたが」
「そうなのか?」
「はい。何でも、良く依頼を受けてくださるフランドール様でも断っているそうですよ」
「んー、ウチの爺ちゃんは仕事だって言ってしばらく帰って来てないんだけどな」
実家のジャックからも手紙でまだ帰って来ていないと知らされている。
かなりの大規模な仕事なのだろうか。
とにかく、あの祖父が苦戦するなんて想像も付かない。
そしてアクアはお気に入りの作者が書いている小説の最新刊と俺も月刊英雄を購入した。
「俺が持つよ」
「あ、ありがとうございます」
女の子が本を持って歩くのは疲れるだろう。それに俺なら荷物にはならない。
「闇魔法 影収納」
俺の影の上に本を落とすとスルスルと入って行った。
俺の魔法で広げられた影の中の空間は広く、物を収納出来る様になった。
「す、凄いですね! こんな魔法、見た事ないですよ!」
アクアに褒められてこの魔法を覚えて良かったと思う。
この魔法は大量の買い物をしても荷物にならないというメリットがある。
いやあ、母さん達との買い物では何度も助けられたけど、こんな時まで役に立つとは便利な魔法である。
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