第二十六話 放課後デートのお誘い
第四章開幕です。
四章からラブコメぶっこんで行きます!
またストーリーの流れでキャラの掘り下げも行っていきます!
英雄学園に入学してから一ヶ月が経った。
最初は友達はアクア達しかいなかったが、今ではクラスメイト達とも一部を除いては順調に仲を深めて行った。
今日の授業はもう終わった。
しかし、その日はナックルとウルフは修行、コウシロウも風紀委員会に用事で向かった。
ここ最近は毎日だ。
近々、大きなイベントが近付いているのも理由の一つかもしれない。
そのイベントとはーーーー。
「あの、ラストさん」
アクアが話しかけて来た。何やら恥ずかしいのか、頬を紅く染めてモジモジしている。
「今日はその、護衛の者がいなくて」
「ああ、そう言えば騎士団の遠征があるんだっけ?」
「はい。それでほとんどの騎士団は出払ってるんです」
今朝の王国新聞に書いていたが、今日は年に一度の王国騎士団による大規模遠征訓練の日らしい。
「私も一応、王女という身分ですので学園外に出るのに護衛が必要なんですが……。どうしても今日に買い物に行きたくて……」
「それで俺を?」
「はい。ラストさんは強いですし、たまにはお友達とお買い物に行ってみたいんです」
「俺なんかでいいなら、勿論いいぞ。今日は暇だしな」
俺がそう答えるとアクアは「やった!」と可愛らしくガッツポーズをした。
買い物がそんなに楽しみなのか、アクアはスキップをしながら俺の先を進んでいる。
これでは護衛の意味が無いではないか。
「ラストさん、早く行きましょう!」
「そんなに焦るなって。転んだら危ないぞー」
「ふふっ、そうですね。楽しみで気が走ってしまいましたっ」
と言って、トテトテと俺の隣に戻って来た。
肩がぶつかりそうな距離なのは護衛をする上で仕方がない事だろう。
「今日は何を買いに来たんだ?」
「そうですね、一応服を見に来たのですが他にも色々なものが見たいので、見て回ってもいいですか?」
「勿論だよ」
女の子の買い物は長い。
四年間で母さんや姉さん、それにリリとララに付き合って来て、俺はその真理に辿り着いていた。
少し歩くと出店が多く出ている大通りに出た。
王都には多くの人が集まるため、その分様々な国の特産品も多く出店されていた。
「わあっ! 凄いですね、これは首飾りでしょうか?」
「俺も初めて見たな、貝殻で作っているのか?」
「へい、そいつは南の島で作られたものでやんす」
店主が教えてくれたが、本当に綺麗な首飾りだった。純白の貝殻に水色の真珠が散りばめられ、首に掛けるチェーンで繋がれていた。
キラキラとした視線で首飾りを見つめるアクア。
この首飾りもアクアの髪色に合うし、丁度良かったかもしれない。
「……すみません、これ一つ」
「あいよっ! 1400ギルね!」
財布から銀貨一枚と銅貨を四枚取って、店主に渡した。そして買った首飾りをアクアに首にチェーンを回す。
突然の事でアクアも動揺した。
「ラ、ラストさん!?」
「いいから」
少し苦戦して、ようやくチェーンを繋げる事が出来た。自分でやるならともかく、人に付けてあげるのがこんなに難しいものだとは思わなかった。
「似合ってるよ、アクア」
「もう……」
「いつものお礼だから、受け取ってくれ」
そう言うと照れた様にアクアが俺の胸元にぽすん、と額をぶつけた。
心臓の音が聞こえてないかと心配になったが、どうやら聞こえていなさそうだ。
顔を僅かに上げた。
「嬉しいです。ありがとうございます、ラストさん」
上目遣いから放たれるその破壊力は凄まじいもので、心臓が止まるんじゃないかと言うぐらいドキドキした。
お互いに目が合って離せなくなり、ゆっくりと近付いてーーーー。
「お客さーん、そういうのは他でやってくだせぇ」
「「あっ」」
ここが店の前だと言う事をすっかり忘れていた。
周囲を見てみると道行く人の足が止まり、視線を一点に集めていた。
「は、早く行こうか」
「そ、そうですね」
恥ずかしくなり、早くここから立ち去ろうとすると店主がアクアに向けて手招きをした。
アクアは不思議に思いながらも店主の方に駆け寄った。
(お嬢ちゃん、良かったね!)
(え)
(この貝殻の首飾りは男性が女性に送るとその二人は結ばれるって言う言い伝えがあるんだよ!)
(ほ、本当ですか!?)
見るからにアクアが嬉しそうにするのを店主はニヤニヤしながら言う。
(彼氏さんとこれからも仲良くね!)
(ふふっ。はいっ!)
彼氏と間違えられた事を否定する事なく、むしろ嬉しそうにアクアは肯定した。
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