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第四十三話 洞窟へ行くと……

 ギルドを出た俺は、とりあえず当面泊まるための宿を借りると、旅の疲れを癒すために早めに寝た。

 そして次の日、朝起きると俺は周辺地図を買いに冒険者ギルドに行った。


 地図によると……街の東にある丘を一つ越えたところにある洞窟に、特に高難易度の聖属性の魔物が密集しているとのこと。

 もちろん、目指すはそこだ。

 早足で丘を駆け抜けると、早速俺は洞窟に足を踏み入れた。



 洞窟に入ってから十分くらいすると……曲がり角を曲がったところで、一頭の魔物が姿を現した。

 金色の斑点を持つホルスタイン牛のような魔物——セイクリッドブルだ。


 この魔物は、未強化のケルベロスとほぼ同等の強さを誇る。

 ケルベロスなら「永久不滅の高収入」の拠点であっさり倒せたので、ガチンコ勝負でも勝てない相手ではないのだが……果たしてウルトラソウルは、体感でどこまで戦闘を楽にしてくれるだろうか。


「フォースリダクション」


 などと考えつつ、とりあえず俺は攻撃力低下魔法を放った。

 この魔物の得意攻撃は、「ファントムホーン」という、角の幻影を実体化させて高速連射する攻撃手法。

「超集中」などを駆使すれば避けられなくはないだろうが、全弾避けるのはなかなか骨が折れるので、あまり痛くなければ無視して戦う方針にしよう。


 攻撃力低下妨害が入ると、セイクリッドブルはようやくこちらの存在に気づき、のそりと目を向けた。


 ……あまり俺のことを脅威と思っていないのだろうか。

 ならとりあえず、何か一撃しかけてみよう。


「三日月刃」


 続いて俺は、遠距離からの攻撃を一撃入れてみることにした。


 ディバインアローの剣を振るとともに、高速の斬撃がセイクリッドブルに向かう。

 一テンポ遅れ、セイクリッドブルは慌てて回避のモーションに入ったが……回避は間に合わず、斬撃の衝撃波はセイクリッドブルに直撃した。


「ブモォッ!」


 斬撃は……一撃でセイクリッドブルを一刀両断にした。


「ストレージ」


 収納できたことからも、セイクリッドブルはさっきの一撃で即死したことが確認できた。


 楽勝だとは想定していたが……まさかここまでとはな。

 フォースリダクション、撃ち損だったじゃないか。


 どうやら、これはかなり奥まで進まないとまともな戦闘にならない——つまり、理論上達成可能な上限値よりスキルポイントの獲得効率が悪くなってしまいそうだ。


 というわけで俺は、躊躇せずどんどん奥へ進んでいくことにした。



 ◇



 そんな調子で奥に進んで行くと……二時間もしないうちに、俺はこの洞窟の最深部と思われるところまで来てしまった。


 途中遭遇した中には、バイコーンという、セイクリッドブルよりはかなり格上の二角獣もいたが……ソイツもそこそこ簡単に倒せてしまったので、ここに来るまで歯ごたえのある敵は皆無だったと言える。


 地図には「超上級者向け」とか書いてあったので、もう少し高位の魔物が出てくると期待してたんだがな。

 どうやら、エルシュタットのギルドの地図作成班が冒険者に対し過保護なだけだったようだ。

 たしかに難易度表記を厳しめにすれば、生還率とかは上がるのだが……。


 それとも、俺が何か思い違いをしているのだろうか。

 例えば、「奥に行くほど強い魔物が現れる」という前提で考えているのが、そもそも間違いだとか。


 そんな可能性を見出しつつ、俺は元来た道を戻ろうと数歩歩く。


 その時……俺は、一つの違和感に気が付いた。


 足音が、異常なまでに響くのだ。

 まるで、「下に空洞がありますよ」とでも言わんばかりに。


 なるほど、ここは真の最深部ではなかったか。

 何らかの要因で塞がれ、行けなくなっている場所が、この下にあるんだな。


「スキルコード3335 『爆砕』取得」


 俺は掘削系の土魔法である「爆砕」を取得し、地面を掘り進めてみることにした。

 ここまで全て憶測だが、とりあえず可能性に賭けて、こことこの下の空間を繋いでみることにしよう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 珍しくハーレム要素が無い異世界転生ものだけど、流石に出会いが無さすぎる。もう少し男仲間でもいいから一緒にいてくれるような仲間欲しいな
[気になる点] かなり奥まで進まないとまともな戦闘にならない——つまり、理論上達成可能な上限値よりスキルポイントの獲得効率が悪くなってしまいそうだ。 ?いままでさんざん楽してポイント稼いできたのにそ…
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