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第一章最終話 ノービスは 失うものが 何もない 

一応補足(別に飛ばしてok)

ジェイドの「敵はもういません」発言をみんなが信じるのに違和感がある人が数名いらしたようですが、あれは


ジェイド→ゲームの情報で知っていることを喋った

他の討伐隊メンバー→自分たちが気付けなかった番犬を見抜いたくらいだし、ジェイドは特殊な探知技術でも持っているのだろうと思い込み、発言を信じた


という状況です。

 地下に降りると……道の両側には鉄格子付きの部屋が無数に並んでいて、そこにはたくさんの老若男女が閉じ込められていた。


「こ、これは酷い……」

「あの傷は……人体実験の痕か? こいつら、一体目的は何なんだ……」


 討伐隊メンバーたちが、口々に感想を言い合う中……俺は角度を調整してディバインアローの剣を構え、こう唱えた。


「三日月刃」


 それにより、斬撃の衝撃波が飛び出し……射線上にある南京錠を、一直線に全て破壊する。


「とりあえず、開けていきましょう」


「ああ」


 メンバーたちが、鍵が破壊された鉄格子を蹴破っていく中……俺は通路の反対側の南京錠に関しても、同じことをした。


 そうしていると、騒ぎを聞きつけたであろう「永久不滅の高収入」の構成員が、慌てて駆けつけてくる。


「何をやっている!」


「次元投薬——フッ化水素酸」


「ぐわぁぁ!」


 しかし彼らは、やはり強化されていないと「魔力視」ができないのか……「次元投薬」で簡単に始末された。



 解放した捕虜たちを、一旦地上に誘導して待機してもらうことにした後……俺たちは、更に奥に進んでみることにした。

 通路を抜けると……その先には、「特殊技術者、及び被験者以外立ち入り禁止」との張り紙がなされた、両開きのドアがあった。

 ドアの上には、赤い発光の魔道具が設置されていて、不気味な光を放ち続けている。


 この魔道具が点灯しているのは、生贄を伴う儀式が行われている最中であることの合図だ。

 儀式魔法の術式は崩壊させたが……儀式の行程そのものは、続いているということだろう。


「えいっ!」


 そのドアを、ゼインが蹴破る。

 すると……中の異様な光景が、俺たちの眼前に広がった。


 そこにいたのは、三人の人間——昏睡したままベッドに縛り付けられ、目を抉り取られた痕から血を流す者、跪いて両手を受け皿のようにし、掌に乗せた魔石で血の滴を受け止めている者、そして古びた本を片手に何かを唱える者が。


「おえ゛ぇ゛っ」


 あまりの衝撃的な光景に、何人かが吐き気を催した。


 ……この生贄、まだ死んでないな。

 せめて一命を取り留めさせるためにも、手遅れになる前に手を打たねば。


「三日月刃」


 俺は跪いている者と唱えている者が一直線に並ぶような位置に移動し、そこから二人をまとめて斬った。

 そして、


「ヒール」


 とりあえず、目の止血処理をした。


「……はっ! この人、上に運んだ方がいいですよね?」

「私たちがやります!」


 そうしていると……唖然としていたところから我に返ったのか、二人ほどの冒険者が、生贄になりかけていた男の地上への運搬に名乗りでる。


「……ああ、頼んだ」


 それにゼインが答え……生贄になりかけていた男は、外へと運ばれていった。


「一体何なんだこの部屋は……」

「拷問……猟奇殺人か?」

「いや、この魔石は……もしや、何らかの禁じられた儀式だったりして……」


 討伐隊のメンバーたちは、部屋中を観察しつつ……各々そんな感想を述べだす。

 そんな中……俺は部屋の隅に、一つの宝箱が置いてあるのに気が付いた。


 そして、思い出した。

 ……そうだ。「永久不滅の高収入」の拠点を制圧したら、ステージクリア報酬でアイテムが貰えるんだったじゃないか。


 そしてそのアイテムを貰う流れこそが……「儀式場にポツンと置いてある宝箱を開ける」だったわけだ。


 早速、俺はその宝箱に近づいてみた。

 その宝箱には、ダイヤル式のロックがかかっている。


 この鍵を開ければ……報酬のアイテムが手に入るのだ。

 俺はダイヤルを一つずらしては、宝箱を開けてみようとした。


 だがその時……後ろから、慌てたように誰かが声をかける。


「ジェイド、やめておけ! それ……三回間違えると呪いがかかる宝箱だぞ!」


 振り向いてみると、声の主はザージスだった。

 ……ザージス、この宝箱の正体を知っているのか。


「大丈夫ですよ」


 俺はそう返事をし、更にダイヤルを一個ずらしては、宝箱を開けてみようとする。


「お、おい! ヤバいぞ! マジで!」


 そんな俺を……おそらく彼は、本気で心配してくれているのだろう。

 心配させっぱなしも可哀想なので、俺は一応、なぜ大丈夫なのかを説明することにした。


「別に俺、この呪いはかかっても大丈夫なんですよ。……ノービスは、この呪いで失うものが何もありませんから」


 確かにこの宝箱は、ダイヤル鍵を三回間違えると、呪いを発動する。

 しかし……問題は、呪いの種類だ。


 この宝箱による呪いの対象は、ジョブによるステータス補正。

 この宝箱に呪われた者のステータスは、ジョブによるステータス補正がかかっていない時のものになってしまうのだ。

 つまり……もともとそんな補正が一切ないノービスにとっては、こんな呪い、あって無いようなものというわけだ。


 三回目、開けようとして失敗すると……宝箱は俺の心臓に向けて緑色の閃光を放った。

 これが呪いのエフェクトだ。


 だが案の定……呪いを受けたあとでも、俺はステータスダウンで感じるであろうような身体のだるさを一切感じなかった。


「ステータスオープン」


 ステータスを開いてみるも……当然のことながら、「状態:呪い」という項目が追加されているだけで、ステータスの数値には一切変化が無い。


「ほらこの通り、俺は全然影響を受けていません」


「そうか……。ノービスって、便利なんだな」


「おいザージス。これはノービスが便利なんじゃなくて、ジェイドさんが常人じゃないだけだぞ」


 呪いを受けてもなんともないことを伝えると、ザージスが呆気に取られながら感想を言い、そしてザージスはパーティーメンバーにツッコまれていた。

 ……ザージスの言う通り、ノービスは滅茶苦茶便利なんだがな。


 更に総当たりでダイヤルを回し続けると……とうとう正しい位置を当てることができ、宝箱が開いた。


 中に入っていたのは、蝶の形をした合金製のバッジだった。



「ウルトラソウル、か」


 そのアイテムが何であるかは、見た瞬間ハッキリ分かった。


 これはウルトラソウル……聖属性の魔物と戦う際、あらゆる効果が4倍になるアイテムだ。

 攻撃を加えた時のダメージは4倍になるし……防御面でいえば、「フォースリダクション」を使えばその効果が4倍になる上、そもそものダメージ量も4分の1になるので、実質ダメージは0.625%とかになってしまったりする。


 NSOプレイヤーの間では「聖属性絶対殺す装備」とか言われていたほど、有用なことで名高いアイテムだ。



 せっかくこんなアイテムが手に入ったなら……今後しばらくは、聖属性の魔物が多く出現する街とかを拠点に活動するのもいいかもしれないな。

 俺は手に入れたアイテムから、将来について想像を膨らませるのであった。

これにて第一章完結です!

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

次章では聖属性討伐でもっともっと快進撃を繰り広げていきます。


あと別件ですが、「転生社畜のチート菜園 〜万能スキルと便利な使い魔妖精を駆使してたら、気づけば大陸一の生産拠点ができていた〜」という作品を書いております。

「主人公本人は気ままに生きてるけど、側から見たら無双してる」という構図が見どころの作品です!

興味があったら覗いてみてください。

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― 新着の感想 ―
[一言] おとんに対するざまぁが無かった……orz
[一言] 第一章完結お疲れ様です。 第二章も楽しみにしてます。
[一言] >ウルトラソウル Hey!と男性ボーカルの叫びが聞こえました。
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