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第十四話 ファントム超大量召喚

 次の日の朝。

 ジーナが作り置きしてくれていた66個の「チェンジ」と1個の「エリアメナス」を手に、俺は西の森に向かった。



 西の森に着いた時……俺はふと、大事なことを忘れていたのに気づく。


 ……そういえば、ファントムコア召喚用の間違った「チェンジ」を作ってもらうの、忘れてたな。

 いやどちらかと言えば、それ用の魔石を手に入れて帰るのを忘れていた、という方が正しいが。


 である以上、まずはそこからやらなければ。

 そう思い、俺はまずラッシュボア、あるいはそれと同格の魔物を探して歩き始めた。



 しばらく歩いていると……「サーチ」の反応から、俺は森の中の小さな池に目ぼしい魔物がいるのが分かった。


「ストレージ」


 俺はその魔物を倒すべく、収納魔法で「チェンジ」が刻まれたスライムの魔石を一つ取り出す。

 そして、その魔道具を起動しようとしたのだが……。


「チェ……いや、まだだ」


 ちょうど池の真上を、パワーイーグルが通りかかろうとしているのが分かったので……俺は「チェンジ」の起動を途中やめにした。

 すると一秒後、パワーイーグルが池の上空に差し掛かる際、池から巨大な水しぶきが上がる。


 その水しぶきからは……槍のように鋭い一匹の魔物が飛び出してきて、その魔物は持ち前の発達した顎でパワーイーグルを串刺しにした。

 そしてその魔物は、串刺しにしたパワーイーグルごと池に帰り、パワーイーグルを食べ始めた。


 この魔物は……「ディバインアロー」という、ダツの魔物だ。

 特徴は先ほど見た通り、水面から飛び出す猛烈な突進と鋭い顎で、上空100メートルを飛んでいる鳥程度ならあっさりと刺し殺してしまう。


 それだけ強い魔物であるが故に、この魔物の魔石は、ラッシュボアと同格となっているのだ。

 俺が「チェンジ」で倒そうとしていたのも、もちろんこの魔物。

 魔道具の起動を遅らせたのは、ディバインアローがパワーイーグルを倒してくれれば、漁夫の利になると思ったからである。


「チェンジ」


 俺はディバインアローの魔石とスライムの魔石を交換し、弱って水面に浮かんできたディバインアローを手で掴んだ。

 それから俺は依然突き刺さっているパワーイーグルを外して収納すると、ディバインアローのエラの付け根をナイフで一刺しして、ディバインアローを活け締めにした。


 ステータスウィンドウを開いてみると、ディバインアローの分のスキルポイントが110ポイント分入っているのが確認できた。


「さて……と。これ、どうするかな」


 スキルポイントの使い道をしばらく考えていると、前方から別の魔物の気配が。


 ……実はディバインアロー、ただラッシュボアと同格の魔物ってだけじゃなくて、剣の素材としてもめちゃくちゃ優秀なんだよな。

 ちょっと、それを試しにいくか。


「スキルコード2536 『三日月刃』取得」


 俺は斬撃の衝撃波を飛ばす「三日月刃」というスキルを取得すると、その魔物の居場所へ向かった。



 そこにいたのは、シャドウレスラーだった。


 強さ的にも申し分ない魔物だし……こいつで試し斬りしてみるか。


「三日月刃」


 俺はディバインアローの尾の部分を握ると、そう詠唱し、シャドウレスラーがいる方向の空中を斬った。

 すると、斬った場所からは衝撃波のようなものが発生し、それがみるみるシャドウレスラーに迫っていく。


 シャドウレスラーは、辛うじて衝撃波が到達する前にこちらに気づけたものの……避けるまではできず、そのまま首と胴体を切り離されてしまった。


「……いい感じだな」


 俺はそう呟きながら、シャドウレスラーの死体とディバインアローを収納魔法でしまった。


 ……そう。

 ディバインアローの顎には……衝撃波の刃を劇的に鋭利化・強靭化させる効果が含まれているのである。


 今の俺では、流石に+値強化もされていない「三日月刃」で、シャドウレスラーを一刀両断することはできない。

 だがディバインアローの顎は、今見た通り、その不可能を可能にした。


 流石にこれからずっと、生身のダツのまま武器として使うつもりはないが……これで剣を作れば、剣での遠距離攻撃においては他と一線を画す高威力を出せるようになる。


 まったく、偶然こんな珍しい魔物に出くわせたなんて、今日の俺はツイてるな。

 などと思いつつ、俺はディバインアローの魔石を片手に、近くの倒木に腰かけた。



 いくらジーナの方が圧倒的に彫るスピードが速いとはいっても……街まで往復する時間を考えれば、これ一個くらいならここで自分で彫った方がいいだろう。

 というわけで、俺は間違った「チェンジ」の魔法陣を、ディバインアローの魔石に彫り始めた。


 しばらくして……それを完成させた俺は、今度は「エリアメナス」の魔道具を取り出した。


「エリアメナス」


 そう唱え、魔道具を起動。

 それから俺は物陰に隠れ、魔物が集まるのをしばし待つことにした。



 ◇



 10分ほどすると……「エリアメナス」の周囲には、夥しい数の魔物が集まった。


「エリアメナス」そのものには何十匹ものギガントホーネットが群がり、熱殺蜂球を形成している。

 そしてそれを取り囲むように、周囲には十数体のボア系やウルフ系の魔物が集まってきていた。


 さらに上空には、カラスかとツッコみたくなるほどのパワーイーグルが集まり、旋回を続けている。

 そして目視では確認できないものの、地下にはモグラ系やワーム系の魔物が計100匹近く集まっているのが、「サーチ」の反応で確認できた。



 ここで魔力災害を起こせば……さぞとんでもない数のファントムが出現してくれることだろうな。


「チェンジ」


 期待しつつ、俺は先ほど作った、間違った「チェンジ」が刻まれた魔道具を起動した。

 すると……周囲の夥しい数の魔物全部が輝き始め、辺りは目を覆ってないといけないくらい明るくなった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 生魚ぶん回してる光景を想像したら吹いてしまいました(笑) [気になる点] ギガントホーネット、スズメバチなのに熱殺蜂球つかうんですね…
[一言] 魚をそのまま武器に…? それって冷凍マグ……いや、なんでもないです
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