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第百十三話 《国士無双》の更に上へ

 国王が落ち着きを取り戻した後は、凶悪犯罪集団が「永久不滅の高収入」であることなどの色々と端折っていた部分を含め、事の全貌をじっくりと説明した。

 国王にはいたく感謝され、「ぜひともエリアXX攻略に協力してほしい」と言ってもらうことができた。

 と同時に、国王は軍から「永久不滅の高収入」を一掃し、組織再編することの必要性も感じたようだった。

 中でも、この国にも幻諜と似たような「神威作戦群」なる国王直属の特殊部隊がいるようで……国王からは、そのメンバーの潔白も調べてほしいとお願いされた。

 まあ、これ自体は《鑑定》すればいいだけなので特に手間では無い。

 鑑定でシロだった場合は、「神威作戦群」が俺と一緒に基地まで同行してくれるそうだ。


 正直俺としては、別に来てくれなくても構わないんだがな。

「神威作戦群」というのは初耳だが、NSOでは幻諜こそが世界最強の特殊部隊って設定だったので、ソイツらが来てくれても幻諜以上の活躍を見せてくれる確率は低いと言わざるを得ないからだ。

 しかし国王の前で「いらないです」とも言いづらく、また他国の領土でローカルの軍の介入を拒否するというのも無理があるかと思ったので、特にそこには触れないことにした。

「神威作戦群」が今の任務を終えて全員揃うのは、最短で二日後だそうだ。


 というわけで、次の日。

 特にやれることもないので、宿でNSOの知識を振り返りながら戦略を練っていると……昼頃、突然また「クラウドストレージ」に反応があった。


「ん、何だ?」


 前回はお守りを貰ったが、今回はどうしたんだろう。

 確認してみると……一通の手紙が入っていた。


『また変わった夢を見ました。「失敗作の神竜」を討伐されたんですよね。死体を貸していただけませんか? あと、適当な魔石も一個ください』


 読んでみると……内容は、そんなリクエストだった。

 なぜジーナが「失敗作の神竜」討伐のことを知っているんだろう。

「製作者証明」の作成を依頼した時には、何の制作を証明するのかまでは書いてなかったから知りえないはずなのだが。

 いや……それ自体も、夢で見た内容から推測しているのだろうか。


 ジーナの夢には、過去に「無双結晶」ができたという実績がある。

 これは一旦「失敗作の神竜」の死体を預けてみたほうが良さそうだな。

 俺は「クラウドストレージ」に死体及び魔石を一つ転送した。

 さて、これで何が返ってくるんだろうかな。



 一時間ほど経つと、再び「クラウドストレージ」に反応があった。


「お、できたか」


 早速、送られたものを確認してみる。

 今回送られてきたのは――一通の手紙と、一粒の白い錠剤だった。


『完成しました。おそらくジェイドさんの役に立つはずですが、一体これが何なのか私には分かりませんので、そちらで鑑定して有用なものだったら使ってください』


 まず手紙には、そんなことが書かれてあった。

 この錠剤を飲んだ俺がどうなるかまでは、夢で見てはいないのか。

 しかし錠剤がくるのは、少し想定外だったな。

 おそらく何かしらの魔道具を作ってくるだろうと予測していたのだが。


 そういえば、最初の手紙には「適当な魔石も一個ください」とか書いてあったな。

 まずは魔石で加工装置的なものを作り、「失敗作の神竜」の死体をその装置に投入してこれが完成したのだろうか。

 とりあえず、どんな薬なのか調べないとな。


「《鑑定》」

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ●神への誘い

 これを飲むと、《国士無双》の派生形態である《神・国士無双》を発動することができるようになる。

 《国士無双》と《神・国士無双》の違いは、主に以下の3点。

 一、無双ゲージが満タンでなくとも発動可能

 二、無双ゲージを使い切らなくとも、発動を中断してゲージを温存できる

 三、《国士無双》発動者に対するダメージが3倍

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 調べてみると、とんでもない効果が判明した。

 なんだこれ。有用とか、そんな次元をゆうに超えすぎだろ。


 これって要は……「戦闘時だけ瞬間的に《国士無双》状態になる」とかが可能になったってことだよな。

 そんなことができてしまうなら、以前の基地の攻略時みたいに一旦敵を集約してから殲滅するみたいな面倒なことしなくて良くなるぞ。

 エンカウントの度に《三日月刃》発動の瞬間に《国士無双》を上乗せ、みたいな感じでやれば、ほぼ無限にチビチビとゲージを消費していけるわけだからな。

 それ以外にも、戦闘で色々と楽になることは多いだろう。


 例えば、今までは《コンウェイタックル》の使い手相手にはゲージの消費速度を調節してゲージ最充填をしたりしていたが……今後は5発目が来る直前、ただ単に《国士無双》を中断すればよくなるのだ。


 実に素晴らしすぎる。

 まさか《国士無双》の利便性が、ここまで爆上がりする日が来ようとはな。

 三点目は……以前デバッグモードで改造した時の、相手の《国士無双》を貫通する仕様の上位互換みたいなものか。

 これに関しては役に立つことがあるかどうか不明だが、まあ無いよりはあったほうがいいのは確かだな。

 全く、本当にジーナは良い夢を見てくれたものだ。


 大事な戦闘の直前のタイミングで、最高のプレゼントを貰えたな。

 正直、国王に「『神威作戦群』が帰ってきてから一緒に攻略に行ってくれるとありがたい」とか言われた時には、内心一刻も早く行かせてくれよと不満に思ったものだが……こんなことになるなら、むしろ出発が明日になってくれてありがたいくらいだな。

 帰ったらまた何か良い福利厚生をつけてあげないと。


 俺はお礼の手紙を書いて「クラウドストレージ」に転送すると、「神への誘い」を飲んだ。

 すると直後、脳内にこんなアナウンスが流れる。


<「神への誘い」を服用しました。以降、《神・国士無双》と唱えると《神・国士無双》が発動します>


 飲んだからには、早速試運転してみたいものだな。

 ゲージをため直す時間はいくらでもあるのだし。


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― 新着の感想 ―
[良い点] なるほど、相手が国士無双を使うと想定したんだ。 ドッペルゲンガー?作られるのかな?
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