プロローグ3
「遠足で寝ちゃってとか……、なわけないよな 」
遠足で森に行って昼寝とか謎すぎだ。
ここにいる状況が把握できないため、まずは自分の情報を確認してみることにした。
「名前は南幸樹。中学三年生。今年で15歳。3年B組、出席番号22番。あとは、家族は3人、父さん母さん僕と。一応、覚えてるね 」
僕の現在の立場を簡単に説明するのならば『受験を控える友達のいないぼっち中学生』となる。
詳細に説明するなら、『受験を間近に控えた時期なのに、全く勉強せず、友達も作れず怠惰に過ごしている』といったところだ。
友達がいない理由は特にない。
普通に友達を作りたいと思ったことがなかった。同年代の誰かと話しても話が合うことはほとんどなかったし、いないことが寂しいとも思ったことはなかった。
初めの頃は母親も心配していたが、特にもう気にされることはなくなった。
普通に学校に行って授業を聞いている振りだけをして、何も考えずそのまま帰る毎日。
そう、今日もそんな1日だったはず――
「――あれ 」
不思議なくらい何一つ浮かんでこない。
確か、今日はテストの2日目で、最悪なテスト結果を叩き出して家に帰ったはずだった。
それに妙に体が軋むように痛い。
それから数分間首を傾げていると不意に後ろから声が聞こえた。
「おい!! こんな場所で何しとるんじゃ!!? 」
キョロキョロと辺りを確認すると、草叢から変な格好の白髪白髭じじいが出現した。
「うわっ!?!? 」
見覚えはない。
見たところ日本人ではないみたいだ。
でも、言葉は通じてる。
敵意みたいなのは感じなかったので、恐る恐る立ち上がった。
「……だ、誰?」
「お主が誰じゃ。ユマニが何故ここにおる! 」
「え、ユマニ? 」
「何とぼけたこと言っとる。ここはドワーフ族の領地じゃぞ 」
「ど、どわーふ??」
なんだそれは。
まず聞かないそのセリフに動揺が隠せないでいた。