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勇者になれて  作者: うととまる
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プロローグ2


淀んだ世界が滲み霞んだ。


赤、赤、赤、すべてが赤く染まり、たださえ元は淀んでいたはものが鮮明になり、そして、その赤が感情を飲み込もうとしていた。


恐れは無い。


悲しみも無い。


ただ興奮と苛立ちが入り交じり、自分を作り上げていく。


そんな赤い世界で、なにかに手を伸ばされる。


黒かったか。


白かったか。


ただ衝動的に。 


その手をつかむことしかなかったのは確かだ。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


はじめに意識したのは匂いだった。


鼻腔に流れ込んでくる空気には、甘い花の匂い。青々とした草の匂い。胸を洗うような爽快な樹の匂い。


どこだろうか。少なくとも自分の家ではないことだけは明らかだった。


次に聴覚に意識を向ける。


ガサガサと草を掻き分ける音。ピーピーと大きく甲高く鳴く鳥の声。その下で控えめに奏でられる虫の羽音。遠くから微かに届くのは犬のような遠吠え。


先程から閉じた瞼を不規則に撫でる緑の光は人工的な光ではなく、木漏れ日ではないだろうか。


意識がはっきりするとゆっくり瞼を持ち上げる。


揺れる無数の光がまっすぐ飛び込んできて、何度も瞬きを繰り返す。


「ここ……どこ? 」


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