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【web版】八歳から始まる神々の使徒の転生生活  作者: えぞぎんぎつね
二章

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71 試練のダンジョン その5

前回のおはなし:ティーナが風魔法をおもいっきりうった。


ついに「最強の魔導士。ひざに矢をうけて~」の4巻とコミカライズ1巻が発売になりました!

「ここは俺に任せて先に行けと~」の2巻も発売中です!

「Kiiiiii!」

 大飛鼠(ジャイアントバッド)が風魔法に巻き込まれて、舞い上がって天井に激突する。

 ティーナの全力の風魔法は魔竜巻(マジック・トルネード)だった。


「ほう!」

 強力な風の刃(ウインド・カッター)あたりを使うと思っていたので、俺は少なからず驚いた。

 魔竜巻は魔法で強力な風の渦巻きを作り、その中を風の刃を走らせるのだ。

 完全なる風の刃の上位互換魔法である。


 ティーナの年齢で魔竜巻を撃てる者はめったにいない。

 俺の知っている限り、俺以外では小賢者ミルトぐらいだろう。


 しかもティーナの魔竜巻はかなりの威力。

 だが、大飛鼠の不可視の攻撃である眩暈のせいで制御できていない。

 部屋中を魔竜巻の中から風の刃が飛び出して乱舞しはじめる。

 俺はロゼッタやアルティ、そして術者であるティーナ自身を保護すべく魔力障壁を展開した。


 ティーナの魔竜巻は十秒続いて収まった。

 力尽きたのか、ティーナは両手を床につき荒く息をする。


 床に落下したばかりの大飛鼠二匹を見てティーナが言う。

「……倒せたかしら?」

「まだです」


 アルティがそう言うのとほぼ同時に、大飛鼠は起き上がって床を駆ける。

 四枚ある羽は全てボロボロだ。他の部分もかなり傷ついているが、まだ素早い。

 ものすごい勢いで、ティーナ目掛けて突進してくる。


「そうはさせないよ!」

 ロゼッタがすかさずティーナの前に出て、一匹の牙を短剣で受け止めた。

 残りの一匹は、ロゼッタの横を駆け抜けて、ティーナに迫る。

 それをアルティが蹴り飛ばした。そして剣で追撃する。


「KIIIIiiiii……」

 あっという間にアルティはとどめを刺した。

 だが、ロゼッタは、最後の一匹とまだ格闘中だ。


「大丈夫か?」

「大丈夫だよ!」


 ティーナの風魔法のおかげで、大飛鼠は弱っている。

 速さも力も落ちている。

 そのため、ロゼッタは優位に戦闘を進めていた。


 大きく振るわれる爪を短剣ではじき返す。

 牙をかわして、無防備になった首に斬りつける。

 だが、かわした直後でロゼッタも体勢が充分ではない。

 その上、大飛鼠の首は太い剛毛の生えた分厚い毛皮で覆われている。

 致命傷にはならない。

 それでもロゼッタは、確実にダメージを与えている。


 俺は力尽きているティーナの横に移動して、ロゼッタを慎重に見守った。

 いつでも助けられるようにだ。


「これで! 終わりだよ!」


 ロゼッタと大飛鼠の激しい戦いの末。

 ロゼッタは、ついに致命的なダメージを与える。


「Kiiii…………」

「はぁはぁ……はぁはぁ」

 返り血に染まったロゼッタは肩で息をする。


「おつかれさま。みんな怪我はないか?」

「あたしは大丈夫だよ。かすり傷さ」

「みんなのおかげで、わたくしは大丈夫ですわ」


 疲れた表情で、ロゼッタとティーナが言う。


「私は無傷です」

 アルティはもう大飛鼠四匹の解体を始めている。


「それならよかった。ロゼッタ、ティーナ、こっちに来てくれ。一応チェックさせてほしい」


 そういいながら、俺はアルティの傷をチェックする。

 さすがにアルティは、かすり傷一つ負っていなかった。


 ロゼッタとティーナがやってくる。


「いいけど……。何をチェックするの?」

「どうぞ、何でもチェックしてくださいな」


 俺は魔法でロゼッタとティーナの傷を調べる。

 ロゼッタは軽症だが、爪がかすったようで血が出ている。

 ティーナもひざをついたりしたせいで、擦り傷が出来ていた。


「まず、簡単な方から。ティーナは治癒(ヒール)だけで大丈夫だね」

 俺はまずティーナに治癒をかける。


「あ、ありがとうございます。でも、わざわざ治癒をかけてくださらなくても」

「傷は色々危ないんだ。特に大飛鼠はね」

「そうなのですか?」


 ティーナは首をかしげる。

 ティーナは大飛鼠の生態に詳しくないので仕方がない。


「大飛鼠は疫病を媒介するからね」

 そういって、俺はロゼッタの様子を改めて見る。


「ロゼッタは結構返り血もすごいな」

「あたしは未熟だからね。恥ずかしいよ」

「少し冷たいから我慢してくれ」


 俺は魔法で水を作り出し少しだけ暖めて、ロゼッタが全身に浴びた返り血を洗い流す。


「あんまり冷たくないよ。ありがとう」

「それなら良かった」


 乾かす必要はない。

 魔法で作った疑似的な水なので、魔力の供給を止めれば消え去るからだ。


「ま、魔法ってすごいね。もう全然濡れてないよ」

「魔力で作った水だからな。魔力も節約したいが、水も節約したい」


 どちらに余裕があるかと言えば、今は俺の魔力だ。

 治癒術師が魔力を使い切ったティーナ一人なら、ためらわず水を使うべきだ。

 そんなことを説明する。


「魔導師がいると、すごく便利だね!」

「ロゼッタ。それは魔導師の過大評価です。ウィルさまが特別なのですわ」

「そうなのかい? いや、ウィルが凄いってのはわかっているけど」


 ティーナが俺の凄さを解説し始めたとき、アルティがそばにやってきた。

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